厚労省アドバイザリーボードが「オミクロン株は同一空間にいれば濃厚接触者」と定義を変更し、検査徹底での封じ込めを図る

 厚生労働省の新型コロナ対策アドバイザリーボードが12月16日に行われた会合で『濃厚接触者の定義』を変更し、検査を積極的に行うことでオミクロン株の感染拡大を抑えようと画策しています。

 この方針は「新型コロナの感染拡大が始まった2年前(=2020年の春頃)に戻った」と言わざるを得ません。

 「水際対策の強化」や「徹底した検査・隔離」を “強権的に実施した国” においても新型コロナの感染拡大は発生したのです。現実を直視した対策を講じることができないアドバイザリーボードは解散すべきでしょう。

 

濃厚接触者の定義 (従来)

 厚労省に掲載されている濃厚接触者の定義は以下のとおりです。

Q1
濃厚接触者とは?


A1
  濃厚接触者とは、陽性となった人と一定の期間に接触があった人をいいます。ここでいう一定の期間は、症状のある人では症状出現から2日前、症状のない人では検体採取時から2日前の期間です。

  この期間に、以下の条件に当てはまる人を濃厚接触者といいます。

  • 陽性者と同居している人
  • 陽性者と長時間接触した人(車内、航空機内などを含む。機内は国際線では陽性者の前後2列以内の列に搭乗していた人、国内線では周囲2m以内に搭乗していた人が原則)
  • 適切な感染防護なしに患者(確定例)を診察、看護もしくは介護していた人
  • 陽性者の気道分泌液や体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い人
  • マスクなしで陽性者と1m以内で15分以上接触があった人

  ただし、これはあくまで原則であり、あらゆる状況を聞き取ったうえで保健所が総合的に判断します。

 マスクを着用する主な理由は「保健所の “濃厚接触者狩り” から逃れるため」です。食事の際にはマスクを外す訳ですから、飲食店が感染拡大のスケープゴートにされやすい事情があるのは言うまでもないでしょう。

 ところが、オミクロン株による陽性反応者が世界中で確認されていることを受けた厚労省のアドバイザリーボードは『濃厚接触者』の定義を以下のように変更することを提言します。

 

「オミクロン株による陽性反応者と空間を共有した者は濃厚接触者」という新基準

 濃厚接触者に対する驚きの新基準が提言されたのは12月16日に開催された第63回・新型コロナ感染対策アドバイザリーボードです。資料1(PDF)の以下のスライドがあります。

直近の感染状況の評価等

 国内でオミクロン株による感染が発生した場合、オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間に関わらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが推奨される。

 これは「 “穢れ思想” が全面に押し出された問題ある提言」です。オミクロン株の陽性反応者と同じ空気を吸った者は濃厚接触者として扱うべきと主張しているからです。明らかに非現実的でしょう。

 症状発出前に鉄道を利用して通勤・通学をしていれば、その車両の乗客全員が濃厚接触者となるからです。

 そもそも “穢れ思想” がハンセン病などで差別を引き起こす温床となったのは『感染症法』の前文に「いわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要」と明記されているのです。

 それを医師や当局である厚労省が綺麗さっぱり忘れていることは極めて深刻と言わざるを得ないでしょう。

 

“症状が軽症化したオミクロン株” の陽性反応者が医療機関に訪れる確率は低い

 アドバイザリーボードは「積極的な PCR 検査」でオミクロン株の感染拡大を防ごうとしていますが、これは無意味です。なぜなら、以下の点がネックとなるからです。

  1. 『偽陽性』と『偽陰性』の問題
  2. ワクチンの接種効果で発症が抑制されると無症状感染者が増加
  3. オミクロン株はデルタ株より毒性が低い(≒無症状感染者が増加)

 まず、陽性反応が出なければならない患者が「陰性」となる『偽陰性』の問題があります。“偽陰性の患者” は誰にも気がないまま、周囲にウイルスを撒き散らす恐れがあります。

 陰性反応が出た人の行動を制限することは「極めて深刻な人権侵害」に該当します。また、感染症法には「制限は最小限に留める」とあることから政府は『自粛』という形で世間に監視させる手段を採っているのです。

 したがって、社会から “除け者” として扱われていると感じている人ほど『自粛要請』を気にすることなく普段どおりの行動をすることでしょう。また、ワクチン接種をした人も当人が過剰と感じる自粛に消極的になります。

 「副反応(や場合によっては心筋炎)のリスクを背負ってワクチン接種をしたのにワクチン未接種者と同じ行動制限を科される(上、オミクロン株には感染してしまうと想定される)」のです。正直者がバカを見るのですから、造反が起きたとしても不思議ではありません。

 

 これまでの新型コロナ対策で得られた知見や課題を活かせていないのですから、アドバイザリーボードは政治が解散を宣告すべき時が来ているのではないでしょうか。