『コロナ自宅死』の実態把握調査は無意味であり、医療業界に忖度する岸田政権に問題解決は望めない

  岸田首相が12月15日に行われた衆院・予算委員会で城井崇議員(立憲民主党)の質疑で「コロナ自宅死の実態把握」をするよう指示を出したと共同通信が報じています。

  これは予算を計上してまで調査をする必要はありません。医療業界と厚労省の要望に配慮したことが根本的な問題であり、「岸田政権にそれを是正する胆力はない」と言わざるを得ないからです。


受け入れ可能な医療機関を限定して患者を先着順で送れば、溢れるのは当たり前

  『コロナ自宅死』が発生することになった “土壌” は以下の項目が主な要因です。

  1. 受け入れ可能な医療機関が限定され、保健所の仲介が “必須” だった
  2. 陽性反応者(≒患者)は先着順で入院した
  3. 退院のインセンティブが医療機関と患者の双方になかった

  患者を溢れさせるための対策になっていたのですから、入院希望者が入院できなくなるのは当たり前です。

  しかも、患者の医療費負担が無料(=公費負担)で「念のために入院したい・し続けたい」とのモラルハザードを引き起こす欠陥があった事実は重く見なければなりません。

  是正をするなら、医師会(や厚労省)の失態が明るみに出ることになります。その胆力が岸田総理に備わっているかは極めて怪しいところでしょう。


病院での死者は「年間で100万人弱」

  人口動態統計で死亡場所を確認しますと、病院での死者は「年間で100万人弱」であることが分かります。また、自宅で死亡する人は「年間で20万人弱」で推移しています。

  近年の特徴として「高齢化の影響で老人ホームで亡くなる方が増えている」ことがあげられます。

  そもそも患者が入院するために必要は病床は有限です。したがって、“老人ホームで死亡するはずだった高齢者” を「新型コロナ陽性」を理由に入院させれば、適切な医療介入があれば助かった患者が死亡する可能性はあります。

  ただ、「どのような優先順位に基づく医療提供体制を構築するのか」の議論は今現在もされていないことが実情です。

  「感染力が拡大に強い」とされるオミクロン株の感染拡大を受けての対応が『以前の対処』と同じで『トリアージの議論』は専門家からさえも促されていないことが理由です。「念には念を入れる」なら、最悪の事態は想定すべきでしょう。


新型コロナを「季節性のインフルエンザ」として扱わない限り、『コロナ自宅死』のリスクは残存する

  『コロナ自宅死』が起きる理由は「(厚労省を含む)医療業界が新型コロナを特別扱いすることを求めたから」です。その弊害で世界水準よりも少ない感染状況で「医療逼迫が起きている」と医療業界から声が上がりました

  したがって、解決策は「新型コロナの特別扱いを止める」だけです。

  そうすることで “具合の優れない患者” は保健所の指示を待つことなく最寄りの医療機関を受診することが可能になります。また、治療費の自己負担分も発生する訳ですから、病院を「無料の要介護施設」として使うことができなくなります。

  「新型コロナ(で入院した際)の治療費が高額になるぞ」と脅す医療関係者も散見されますが、彼らは『高額療養費制度』を知らないのでしょう。『高額療養費制度』があるから高齢者が使う医療費が国家財政を圧迫する事態を招いているのです。

  『コロナ自宅死』は「 『(退院に消極的だった)入院中の高齢者』によって『医療の適切な介入を必要として中高年』の新型コロナ患者が場合によっては自宅で死亡した」という案件です。

  今後の注目点は「無自覚に新型コロナの感染拡大を引き越した若者が悪い」との責任転嫁が見られるかでしょう。新型コロナワクチンを猛プッシュする界隈に便乗する可能性は十分にあると思われます。