厚労省が心筋炎を「ワクチン接種の重大な副反応」と記載も、誤データを基にした「コロナ罹患時よりも起きにくい」の姿勢は崩さず

 厚生労働省が12月3日に行われた専門部会で「新型コロナワクチン接種時に若い男性は心筋炎(や心膜炎)が重大な副反応」と警戒度を上げることが了承したと共同通信が報じています。

 接種慎重派が以前から指摘していた内容を渋々認めた形ですが、“誤データ” を根拠に「『ワクチン接種で生じる心筋炎』は『新型コロナ罹患時の心筋炎』よりも発生率は低い」とワクチン接種を推奨する姿勢は維持しているのです。

 これは深刻な問題でしょう。

 

心筋炎と心膜炎を「重大な副反応」と明記

 共同通信が専門部会と記事で触れているのは「ワクチン分科会副反応検討部会」のことです。12月3日に行われた第73回の会合で以下の資料(PDF)が示されています。

添付文書の改訂

 資料1-7-1 で「心筋炎、心膜炎が現れることある」と添付文書の改訂が提案され、『重大な副反応』の例として「心筋炎と心膜炎」が具体的に明記されることとなりました。

 “ワクチン接種慎重派” が「新型コロナ罹患時の重症化率が低い若者は接種するかの結論を出すことを先送りにした方が良い」と主張していたとおりの状況になったと言えるでしょう。

 

『軽快』は『回復』とは別で「継続的な治療を必要とする」という意味である

 ワクチン接種推進派は「ワクチン接種による心筋炎のほとんどは軽症で自然軽快するので大丈夫」と主張していますが、『回復』ではなく『軽快』という言葉を用いていることに注意が必要です。

 なぜなら、医療で言う『軽快』とは「治療行為による改善が見られ、退院時点で外来などで継続的な治療を必要とするもの」の意味で用いられる用語だからです。

心筋炎事象の臨床的経過について

 厚労省が発表した資料では「10代男性の『回復』と『軽快』は15名ずつの同数」です。

 前者は外来などによる継続的な治療は不要ですが、後者は「何らかの形態での継続的な治療」が必須なのです。全年齢層を対象にワクチン接種を接触推進した者は「若い男性に心臓を捧げさせた責任」を問われるべきでしょう。

 それだけ深刻な影響が出ているからです。

 

『コロナ罹患時の心筋炎発症確率』は『コロナワクチン接種時』よりも高いと主張する厚労省

 にも関わらず、厚労省は「『コロナ罹患時に心筋炎が発症する確率』は『新型コロナワクチン接種時に発症する心筋炎』よりも高いため、新型コロナワクチン接種を推奨する」との姿勢を崩していません。

画像:厚労省に関する心筋炎事象への考え方

 しかし、この姿勢は大きな問題です。

 なぜなら、『新型コロナ罹患時に心筋炎が発症する確率』が不適切に高く見積もられているからです。そのように見積もってワクチン接種を猛プッシュしているのが「他ならぬ厚労省」ですから、責任は厳しく追求されなければなりません。

 

忽那賢志氏が行なった “煽り” を厚労省もやっている

 厚労省が「『コロナ罹患時に心筋炎が発症する確率』が高い」と主張する根拠にしているのは以下の資料です。

新型コロナでの入院患者による心筋炎

 上記資料を基に「感染者100万人あたりの心筋炎事象者は834名と(ワクチン接種による心筋炎事象者よりも)高いのでワクチン接種を推奨する」と主張していますが、これがデタラメであることは過去記事で指摘済みです。

 比較対象をする上での『分母』が不適切なのは明らかでしょう。

心筋炎 入院患者 ワクチン接種者
/ コロナ陽性者





10代 Pf 7 X 2,939,003
10代 Mo 13 X 707,338
20代 Pf 20 X 3,476,590
20代 Mo 47 X 3,168,818
新型コロナ罹患
【15〜39歳】
4 4,798

 『新型コロナ陽性反応者でかつ入院した若い男性』と『新型コロナワクチン接種をした若者』を比較しているのです。『新型コロナ陽性反応者』は若者が最大ですが、その大部分は「宿泊療養」か「自宅療養」で入院には至っていません。

 この時点で厚労省が持ち出すデータとして論外でしょう。

 また、絶対数で確認すると『コロナ罹患時に心筋炎が発症したと疑われる事例』は「15〜39歳で4件」です。新型コロナの恐怖を煽れる要素を目を皿にして探していた中で報告例が4件に留まった現実を直視しなければならないはずです。

 

 重症化しにくい疾病のワクチン接種をしてことで心筋炎を発症し、“軽快” してくれる若者が多数発生することを医療業界は大歓迎でしょう。なぜなら、“軽快した患者” は「継続的な診療が必要」なので医療業界は診療報酬が約束されるからです。

 厚労省も「ワクチン接種率を新型コロナ対策に尽力した成果」として予算確保時にアピールできるため、今後も新型コロナの脅威を切り取ってでも強調し続けて煽ることでしょう。経済を落ち込ませた代償を支払わずに済む立場ですから。