「オミクロン株の患者は症状が軽く重症者も出ていない」と南アフリカ医師会の会長が言及

  南アフリカから『オミクロン株の発見』が報告されたことを受けた主要先進国が一斉に『水際対策の強化』に乗り出しましたが、南アフリカの医師会会長が「現状でパニックになる必要はない」と苦言を呈しています。

  症状が軽いことに加え、重症者が報告されていない事実を踏まえた対応が必要になるでしょう。


報告されている『オミクロン株』の症状は『デルタ株』よりも軽微

  世界各国の報道機関からの取材に応じた南アフリカ医師会のアンジェリク・クッツェー会長が言及した内容は以下のものです。

  • 現時点ではオミクロン株に感染した患者の症状は軽い
  • 重篤な患者はいないのでパニックになる理由はない
    • 私の地元では大病院で人工呼吸器を装着中の新型コロナ重症者は1人
    • その患者は『デルタ株』か『オミクロン株』のどちらかは不明
  • 状況が変わる可能性は認識している
  • メディアや世界各国が作り上げた「過大な虚像」は私達の「臨床に基づく実態」とかけ離れている

  「クッツェー会長は科学的な根拠に基づく主張をしている」と言えるでしょう。

  症状は「1〜2日続く強い倦怠感」の後に「頭痛や体の痛み」がほとんどです。風邪と変わらないレベルですし、過剰反応と批判するクッツェー会長の主張を覆すには根拠が必要です。


『オミクロン株』の感染拡大が起きているはずだが死者数は低空飛行のまま

  『オミクロン株』の恐怖を煽るマスコミ(や医療従事者)がほとんど取り上げない「南アフリカでの新規陽性者数や死者数の推移」を確認することにしましょう。

  当局が発表した数値をグラフ化すると以下のようになります。

オリジナルの数値を用いたグラフ

  発表値をそのまま使うと数値が “スパイク” した「11月23日発表分」に引っ張られて実態が見えにくくなる問題があります。そのため、『11月23日発表分の新規陽性者数を除いたグラフ』が以下のものです。

改良版グラフ(11月23日発表分を除く)

  南アフリカの人口は約5800万人で、首都ヨハネスブルグがあるハウテン州は東京都とほぼ同じ約1400万人が住んでいます。そこで新規陽性者数が激増しているのです。

  11月上旬は「1日あたり約100人の新規陽性者数」だったのが、11月下旬には「1日あたり約500人」にまで増加。11月末には「1日あたり約2000人強」にまで増加しています。

  西浦氏などは「R0 = 4.0 で増加する」と『オミクロン株』の恐怖を煽ろうとするでしょう。しかし、“それだけの感染力” があるにも関わらず「新型コロナによる死者数」は増加していないのです。この事実は無視すべきではありません。


南アフリカ・ハウテン州と東京都の新型コロナによる死者数の推移

  10月21日の大量計上が『死者の7日間平均』を押し上げていますが、11月以降の『新型コロナにより死者数の7日間平均』は「3人前後」で推移しています。

  デルタ株による感染が起きていた東京都は10月下旬まで『新型コロナにより死者数の7日間平均』は「10人」でした。『オミクロン株』の感染力だけで騒ぐのは時期尚早ですし、重症化や死亡のリスクが『デルタ株』より低い可能性は十分にあります。


  南アフリカは “ファクターX” で守られた国ではありません。比較すべき対象は「南アフリカでの『デルタ株』による被害」であり、『ベータ株』のように南アフリカ以外の国では何も起こらないこともあるのです。

  状況を注視する必要があるにしても、毒性が『デルタ株』と変わらないなら死者数は今週から目に見えて増加が観測されるはずです。「オミクロン株の感染力」だけを強調した煽りとは少し距離を取る必要があるでしょう。