ドイツのシュパーン保健相、選択肢と発生確率を無視して「接種か回復か死か」と新型コロナの恐怖を煽る

  ドイツのイェンス・シェパーン保健相が「この冬の終わりまでにドイツのほとんどの人がワクチン接種・回復・死のいずれかになるだろう」と警告を発していると AFP 通信が報じています。

  この発言は正しいように感じられますが、『実際に存在する選択肢』の一部に過ぎません。また、それぞれの選択肢に至る確率も無視している雑な煽りと言わざるを得ないでしょう。


シェパーン保健相が見落としている選択肢

  シェパーン保健相は「3択問題」であるかのように言及していますが、現実には(少なくとも)以下の選択肢が存在します。

  1. ワクチン接種
    1. 新型コロナに感染
      1. 新型コロナを発症
        1. 回復
        2. 死亡
      2. 無症状
    2. 新型コロナに未感染
  2. ワクチン未接種
    1. 新型コロナに感染
      1. 新型コロナを発症
        1. 回復
        2. 死亡
      2. 無症状
    2. 新型コロナに未感染

  「ワクチン接種」の『Ⅰ』だけでなく、「ワクチン未接種でも新型コロナに未感染」という『Ⅱ-ⅱ』の選択肢もあるのです。しかも、『Ⅱ-ⅱ』がマジョリティーだったのです。

  それが今年は行政がワクチン接種を強く推し進めた関係で『Ⅰ-ⅱ』に当たる「ワクチン接種済で新型コロナに未感染」が最も多くなるでしょう。『Ⅰ-ⅰ』が(『Ⅱ-ⅱ』よりも)多いと「ワクチン接種で感染を減らせ」との主張が成り立たなくなってしまうからです。

  要するに『Ⅱ-ⅱ』が『Ⅰ-ⅱ』に変わっただけです。これを根拠に「ワクチン接種の効果で感染が抑えられた」と主張するには無理があります。

  年齢階級別の重症化率(や致死率)をワクチン接種の有無に基づき分類する必要があると言えるでしょう。


「去年の年末・年始よりも深刻な状況になるぞ」とドイツ国民を脅さないシェパーン保健相

  それにドイツ国民を新型コロナの恐怖で脅したいのなら「昨年の年末・年始よりも深刻な状況になるぞ」と公言すれば良いだけのことです。なぜなら、死者数は昨年の同時期と変わらない水準にあるからです。

  また、新型コロナで入院中の重症者数も昨年と同様の曲線を描いています。

  これらの指標から「昨年よりも(新型コロナによる死者数や重症者数は)深刻な状況に陥る」と煽ることはできます。しかし、そのような煽りはしている様子はありません。

  理由は「ワクチンの接種効果を否定することになるから」でしょう。昨年と同様の死者や重症者が出てしまうと「ワクチンの接種効果は低い」と結論付けられてしまうからです。

  『新規陽性者数』を基にした煽りは『死者数(や重症者数)』の前での効果は限定的です。“過剰な煽りで生じた損害への責任を追及される恐れのある人物ら” がコロナ禍を煽ることで保身に走っていると警戒する必要もあると思われます。