『ワクチンパスポート』の実績作りに協力するため巨人が「応援行為に制約を設けた応援団の活動再開」を発表

 プロ野球の読売巨人軍が「10月12日の読売ジャイアンツ対阪神タイガース戦から特別許可応援団の活動を再開する」と発表いたしました。

 ただ、活動が全面再開される訳ではありません。『ワクチンパスポート』を前提に、トランペットの使用や声を出しての応援は禁止されたままなのです。

 これでは『ワクチンパスポート』の実績作りと言わざるを得ないでしょう。

 

読売巨人軍による発表内容

 ジャイアンツが公式サイト上で発表した内容を確認しますと、応援団遵守事項の中に以下の文言があります。

【応援団順守事項】

 (中略)

・応援活動では飛沫を避けるためトランペットは使用せず、自ら大声を出さないことはもちろん、一般の入場者に大声を出させない、歓声を煽らない、密集を作らせないことを徹底する

 一般入場客には「バッターのヒッティングマーチやチャンステーマを歌うな、大きい声援を送るな、客同士でハイタッチをするな、タオルを振り回すな」と注文を付けたままです。

 その状況で “特別許可応援団のメンバー” には上述の制約を設けての活動再開を許可したのです。一般入場客と待遇はほぼ同じであり、目的を疑問視されても不思議ではないでしょう。

 

『ワクチンパスポート』の導入実績作りぐらいしか効果がない

 巨人軍が特別許可応援団の活動再開を許可した目的は「『ワクチンパスポート』の導入実績で(読売グループが)政府に恩を売るため」でしょう。

 政府や分科会会長の尾身茂氏は『ワクチンパスポート』の導入論者ですが、この名称では「自由を阻害している」との印象を抱かれてしまいます。だから、名称を『ワクチン・検査パッケージ』とすることで目くらましをしているのです。

 これは『指導』の名の下に『選手に暴力を振るう』ことと同じです。そのため、手放しに称賛できる行為とは言えないでしょう。

 

「『ワクチンパスポート』を用いた応援団員」と「対象外の一般客」を比較する意味はあるのか

 また、現状で『ワクチンパスポート』の導入試験を行う価値はありません。やるなら「オリンピック」ですべきだったからです。

 と言うのは日本での新型コロナワクチンの2回目接種率は10月8日時点で 58%。『ワクチンパスポート』を導入したことによる有意差が生じることはあまり期待できません。

 なぜなら、『ワクチンパスポート』を用いた際の比較対象は「ワクチン未接種者」であるべきだからです。

 ところが日本では『全国民ワクチン接種運動』が展開されているに等しい状況であるため、ワクチン未接種者を見つける方が時間の経過とともに困難になって行く状況です。

 しかもイスラエルなどから「ワクチン接種で得られる効果は約半年ほど」との調査結果が示されており、ワクチン接種歴だけで評価をすることの問題も踏まえなければなりません。

 

 「鳴り物」や「声援」を戻すための『ワクチンパスポート導入』ならばまだ理解できますが、現状の方針では政府に恩を売るだけのパフォーマンスと言わざるを得ないでしょう。少なくともロードマップは示すべきなのではないでしょうか。