こびナビの内田舞氏、『肥満大国アメリカでの未成年の新型コロナ死者400人』を理由に日本の子供にもワクチン接種を要求

 在米で『こびナビ』に参加する内田舞氏が「アメリカで新型コロナによって既に400人死亡しているので日本の子供たちにも新型コロナワクチンを接種して抗体を持たせるべき」と主張しています。

 しかし、この主張は筋悪です。内田氏の主張の根拠となっているのは『肥満大国アメリカ』の数値で日本で生活する子供たちが新型ワクチン接種をする理由にはなり得ません。「結論ありきの主張」と言わざるを得ないでしょう。

 

内田舞氏の主張

 『こびナビ』に参加する内田舞氏が主張しているツイートは以下のものです。

 内田氏は「子供への新型コロナワクチン接種をしなくて良いとの仮説は現実的ではないという残念な結論に辿り着く」との主張の持ち主です。

 イギリスのワクチン諮問委員会は「子供がワクチン接種で得られるメリットは少なすぎる」ことを理由に非推奨の立場です。また、忽那賢志氏は「接種する自身よりも利他的な意義が大きい」と認めています。

 『小児精神科医』である内田舞氏が上述の主張を覆す根拠を有しているのなら、その事実を世間に対して周知することが医師としての責務と言えるでしょう。

 

『こびナビ』の内田舞氏がツイートで触れていない事実

1: アメリカは『肥満大国』

 アメリカで子供400人が新型コロナで亡くなったことは事実です。これは CDC が発表しているレポートから確認できます。

 9月8日時点で17歳以下の死者は412名。『日本の50代』とほぼ同数の死者数です。このように死者数が多くなる理由の1つは肥満率でしょう。アメリカでは2歳から19歳の肥満率は 19.3% と極めて高い状況にあります。

アメリカのティーンエイジャーの肥満率

 アメリカでの肥満は「BMI が30以上」が定義です。BMI が 30 というのは「160cm なら 76.8kg」、「170cm なら 86.7kg」の水準です。

 これよりも太っている子供が5人に1人の割合でいるのですから、新型コロナ罹患時に重症化しやすい子供は相当する存在するという前提があるのです。

 

2: 日本の肥満率は「アメリカより1桁少ない」

 次に、日本で BMI が 30 を超える子供たちがどのぐらいの割合でいるかと言いますと 1.7% です。

日本での年齢階級別の肥満率

 厚労省が発表した『令和元年国民健康・栄養調査報告』で「15歳から19歳で BMI 30 以上は 1.7%」と言及されています。この水準は「アメリカの10分の1」ですから、「日本の子供はアメリカの子供よりも新型コロナ罹患時に重症化しにくい」と言えます。

 なぜなら、『肥満』は新型コロナ罹患時の重症化要因の1つだからです。その割合が低い事実を無視し、「日本の子供にもワクチン接種をすべき」と主張する姿勢は問題視せざるを得ないでしょう。

 

3: 基礎疾患を持たない日本の子供が新型コロナで亡くなった事例は皆無

 日本の未成年が新型コロナで亡くなったのは2021年9月14日時点で1名だけです。その方は「10代後半で基礎疾患を抱えていたこと」が報道されており、“健康な子供たち” は新型コロナ罹患によるリスクは皆無です。

  • アメリカでは新型コロナで17歳以下の子供が412名死亡
    → 人口比を反映させると日本では135名に相当
  • 未成年の肥満率はアメリカは日本の10倍
    → 15名弱の死者
  • 日本での未成年の死者は1名

 内田氏が主張する「日本の子供への新型コロナワクチン接種」をするには『日本国内で未成年の新型コロナによる死者』が累計で135名ほど必要です。これはアメリカと日本の人口比から算出した数値です。

 しかし、肥満率を考慮した場合でも『日本の未成年の新型コロナによる死者』は15名弱ですから「実数の10倍」です。

 『ファクターX』の存在を否定することは難しい状況ですし、子供たちが新型コロナワクチン接種で得られる効果はほとんどないでしょう。

 

 『こびナビ』が「子供たちがワクチン接種で得られる効果は新型コロナ罹患よりも高い」と主張するなら、その根拠を示さなければなりません。

 ワクチン接種効果は「下方修正」ばかりで「上方修正」はされていないのです。この事実を踏まえるとともに『こびナビ』の関係者から発信される情報には警戒を怠らないことが重要と言えるのではないでしょうか。