「コロナ補助金がなくとも医療機関が手にする2021年度の診療報酬は過去最高になる見込み」と財務省が発表

 「医療機関が2021年度に手にする見込みの診療報酬は「コロナ禍前の2019年よりも増加して経営状況は概ね堅調」と財務省が発表したと日経新聞が報じています。

 「経営が成り立たない」や「コロナ対策で医療費が下がれば自粛要請による恩恵と言える」などの医療業界を擁護する主張は否定されたことになります。問題点の是正は不可避と言わざるを得ないでしょう。

 

医療機関は2021年度に『過去最高の診療報酬』を手にする見通し

 日経新聞が報じている記事の元ネタは11月8日に開催された財務省の財政制度分科会で用いられた資料(PDF)です。

医療費の動向

 令和2年度(2020年度)の医療費は42.2兆円と前年より1.4兆円少なくなりました。しかし、令和3年度(2021年度)の医療費は2019年度の43.6兆円よりも高くなることが確定的な状況です。

補助金を含む医療機関の収入の動向

 2021年4月から9月に費やされた医療費を基に算出した『令和3年度(2021年度)の医療費』は44.7兆円。「過去最高になることは不可避」と言わざるを得ません。

 しかも医療機関は『診療報酬』とは別に『コロナ関係補助金』も手にしているのです。経営状況が「好調」であることは否定できませんし、「焼け太り」との批判が出ることは否定しようのない事実でしょう。

 

「医療費の総額が減ったことは『コロナ対策』による恩恵」との虚しい擁護論

 『自粛や接触削減の要請』に理解を示していた人々の根拠となっていた主張に「医療費の総額が減って国民の負担が軽くなる」というものがありました。しかし、この主張は明確に否定されました。

新型コロナによる医療機関の収入の変化

 受診控えが起きていたのは「小児科」などの子供が中心であり、医療費を最も消費する後期高齢者に大きな変化はなかったからです。

 2025年に『団塊の世代』がすべて後期高齢者となるため、医療費は “何もしなければ” 55兆円規模にまで拡大します。これは社会保険料や税金を支払う一般企業の労働者にとって重荷となるため、制度の改善は待ったなしと言わざるを得ません。

 

「『なんちゃって急性期病床』と同じ問題が『コロナ患者の受け入れ』でも起きた」と指摘される

 医療資源が有効活用されていない問題は以前から『なんちゃって急性期病床』として指摘されていました。

 行政には『急性期病床』として申請はするも実際には「低密度で対応できる医療」だけをして補助金を受け取る医療機関の存在が問題となっていたからです。そして、その問題がコロナ禍では『幽霊病床』として注目されることになりました。

コロナ禍の下での入院医療

 分科会の尾身会長は『幽霊病床』で甘い汁を吸っていた JCHO から報酬が支払われている理事長でもあります。“直接的な利害関係者” なのですから、分科会のトップにいる人物として極めて不適切です。

 尾身氏や日本医師会の理事などで構成された分科会は「医療業界への我田引水」を行うだけです。そのようなメンバーが居座り続ける限り、日本でコロナ対策禍が終わりを告げることはないと思われます。