コロナ病床確保の病院、平均10億円の補助金で「利益率6%」に達するバブルが到来

 コロナ病床の確保を申請することで得られる補助金を受けた医療機関に対する調査で「補助金受給によって収支の黒字が拡大した」ことが明るみになったと読売新聞が報じています。

 一部の医療従事者は「新型コロナ患者を受け入れると赤字」と主張していましたが実態は真逆でした。

 『幽霊病床』を用いて金儲けをしている不届きな医療機関の存在が明るみになったのですから、病院名の公表に踏み切るべきでしょう。使途が限定された補助金を受け取った時点で債務不履行の責任は問われるべきだからです。

 

該当の資料は財務省のホームページ上で公開済

 読売新聞などが記事にした元ネタは10月11日に開催された財務省・財政制度分科会で用いられた資料(PDF)です。

コロナ病床の補助金による収支

 コロナ病床の補助金申請を行った1715の医療機関に調査票が送付され、1290の医療機関からの回答を得た数値となっています。

 補助金は平均10億円で、医療収支は6.6億円のプラス。その結果、収支を収益で割った利益率は +6.3% となりました。

 コロナ禍前の利益率は +0.2% ですから、「異常な実態が浮き彫りになった」との指摘が出ることは止むを得ないでしょう。

 

分科会の尾身茂氏が理事長を務める JCHO も利益率が4倍増の 6% にまで上昇

 もちろん、分科会の尾身茂氏が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)もコロナ補助金によるバブルを迎えています。

コロナ病床の補助金を得たJCHOの収支

 JCHO は令和元年度の収支は0.5億円(利益率:1.5%)でしたが、事業費用が前年とほぼ同じだった令和2年度は新型コロナ補助金のおかげで収支は約4億円を記録。利益率は 6.0% となりました。

 その理由が『幽霊病床』の活用であることは明らかです。

 「感染拡大が起きている地域に看護師を派遣したから(補助金の助成対象である)コロナ病床に回す人手が足りない(ので受け入れ拒否は仕方のないことだ)」との弁解が通用すると考えているのですからバッシングを浴びるのは当然でしょう。

 刑事告訴の対象にならなければならない事案であり、不正を働く医療機関が “お目こぼし” の恩恵を受けている状況では医療業界や専門家への不信が募るだけという現実を認識する必要があるはずです。

 

不正を働いた病院名が公表されて困るのは「該当の病院で働く当事者だけ」

 ちなみに調査に応じた病院の中には「改善率が 20% を超える病院」も複数存在しています。

コロナ補助金で収支が大幅に改善した医療機関の事例

 ここで留意する必要があるのは「収支改善率が 50% を超えるような病院は調査票への回答を拒絶している可能性が高い」ということです。

 『医療機関A』や『医療機関D』は “今回の調査に応じた病院” の中では「突出した収支改善率」ですが、“調査に応じなかった医療機関” を含めると「中ボス以下」に転落する可能性があるからです。

 補助金で私腹を肥やす時点で『公共サービス』を担う資格はないのです。そのような医療機関の名前は公表され、処分が科されるべきです。それで困るのは「補助金詐欺による恩恵を受けている医療従事者」ぐらいでしょう。

 業界に自浄作用があることを示すためにも不正に手を染めた医療機関に行政処分が下ることを望めないなら、共犯者として見なされ批判を受け続ける覚悟を持たなければなりません。

 

 一部の医療従事者を中心に「コロナ病床の補助金で受診控えなどによる減収分を補填するのは止むを得ない」との擁護の声がありますが、それは『持続化給付金』の役割です。

 医療業界はコロナ禍によるニューノーマルを世間に求めているのですから、ニューノーマルの1つである『受診控え』に対応するのは各医療機関の責務です。公共サービスの名に値しない医療機関は統廃合の対象とすべきです。

 困るのは統廃合でポストを失う恐れのある医療機関の経営層が中心です。少なくとも不正に手を染めた経営幹部の一掃を望む声が医療業界内から出なければ信頼は低下する一方なのではないでしょうか。