“コロナ禍”で国民医療費が前年より1.4兆円減、不要不急の診療行為で医療業界が私腹を肥やしていた実態が明らかに

  8月31日に厚労省が「2020年度の概算医療費は前年度よりも1兆4000億円減の42兆2000億円で過去最大の下げ幅を記録した」と発表したと日経新聞が報じています。

  日本は少子高齢化で医療費が減少する見通しは皆無の状況でした。それが “コロナ禍” の真っ最中に「医療費が減少」したです。また、2020年の死者数も『将来推計人口』で予測されていた当初の予想値(約141万人)よりも3万人少ない約138万人でした。

  したがって、「医療業界が不要不急の診療行為で私腹を肥やしていた事実は否定できない」と言わざるを得ないでしょう。


新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関の受診を控える動きが広がっている。厚生労働省が31日に発表した2020年度の概算医療費は42兆2000億円と前年度に比べて1兆4000億円(3.2%)減った。減少額、幅ともに1954年以来、過去最大だった。20年度の大幅減はコロナ禍という特異な背景があるものの、真に必要な受診への絞り込みなど医療コストの効率化の余地が大きいことも映し出している。

医療費1.4兆円減、20年度に最大 コスト抑制の余地映す


日経新聞の元ネタは『医療費の動向調査』

  日経新聞が報じた記事の元ネタとなっているのは厚労省の『医療費の動向調査』です。8月31日に「令和2年度の年次報告」が公表されており、それを基にしていることは明らかと言えるでしょう。

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  どの年齢層も前年度より医療費が減少しているころから「受診控えが起きている」と言えますが、少し細かく見る必要があります。

  例えば、『被用者保険の本人』は前年度とほぼ同じです。ここは “勤労している当人” ですから、「税金や保険料を支払っている人々は受診控えとは無縁」と言えるでしょう。

  その一方で(扶養の対象である)家族や未就学児、社会保障の受益者である高齢者は「受診控え」が起きています。“時間的な余裕のある社会保障の受益者” が『念のための受診』を止めたことが最大の要因と考えられます。この事実を踏まえた改善策が提起されるべきです。


「未就学者(≒ 幼児以下)の下げ幅が大きい」が留意すべき点もある

  次に、未就学者に分類される小さい子供が使用した医療費が減少したことは財務省が財政制度分科会での資料として何度か示していましたので既知の人もいるでしょう。

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  小児科は1度目の緊急事態宣言が発出された昨年4月・5月は前年同月比で 60% ほどのレセプト点数でした。その後も「前年同月比 80% 弱の水準」で推移しており、受診控えが起きていることは否定できません。

  また、「RS ウイルスの感染が全く起きなかったこと」も未就学者の医療費が減った大きな理由と考えられます。

  RS ウイルスは(未就学者に分類される)乳児が主な患者であり、重症化のリスクを無視することができない疾病です。重症化した場合は「集中治療室での入院」ですから、多額の医療費が必要となるのは明らかです。

  2020年は RS ウイルスの患者が皆無に等しかったのですから、この分の医療費が使われることはありませんでした。しかし、今年は昨年分もまとめて RS ウイルスの患者が発生する状況に見舞われており、2021年度の医療費は「例年どおり」となる可能性があるでしょう。


医療費を負担している現役世代を置き去りにした「真に必要な受診」の議論は無意味

  日経新聞は「真に必要な受診の絞り込み」と記事で言及していますが、医療費を負担している現役世代(や将来世代)の存在を無視した議論では全くの無意味です。

  75歳以上の後期高齢者は国民医療費の約 40% を使っているものの医療費の自己負担は1割です。残りの9割は「公費」と「現役世代からの仕送り」で、仕送り分は毎年7兆円近くにもなります。

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  『同じ医療サービス』を受けるにも関わらず、後期高齢者だと自己負担は1割です。“真に必要な受診” であるなら、自己負担は現役世代と同じ3割でも全く問題はないはずです。そのような主張を日経新聞がしないなら、この議論はすべきではないでしょう。

  ちなみに、この議論に医療従事者を参加させることは不適切です。彼らは「事前に点数が定められた診療行為をすることで報酬を得る立場」にあるため、「誰もが費用を気にせず医療を受けられるべき」とコストを無視した主張を展開するのは自明だからです。

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  全世代型社会保障検討会議での資料(PDF)でも「後期高齢者が使う医療費は年齢が上がるごとに増加」と示されており、使われた医療費(の約4割)が給与となっている医療従事者は “オブザーバー” に留めなければならないと言えるでしょう。


「100年に1度のパンデミック」が襲来しているのなら、年間の死者数が予想を下回ることはない

  一部の医療関係者はコロナ禍を「100年に1度のパンデミック」と称して危機を煽っていますが、パンデミックなら年間死者数が予想値を下回ることなど絶対にあり得ません。

  スペイン風邪のような『本物のパンデミック』なら、ロックダウンをしようが徹底した感染対策を全国民が実行しようがキャパシティーを上回る患者数が発生して医療崩壊が発生している(と考えられる)からです。

  日本で起きているのは「コロナ禍が起きている」と医療関係者らが主張したことで生じた『コロナ対策禍』です。

  年間死者数は「予想値を下回る前年割れ」で、年間の国民医療費も「全年代で前年度よりも減少」したことがパンデミックに該当することはないでしょう。その結果、日本の医療業界は不要不急の診療行為をして私腹を肥やしていたことが白日の下にさらされる結果となりました。

  相応を罰を与えられるべきなのではないでしょうか。