アドバイザリーボード「感染力2倍との表現は科学的でない」→ 自分たちは「デルタ株の感染力は1.5倍」と言及してました

 岸田政権が「今夏の2倍程度の感染力を想定して医療体制の強化を行う」と表現したことに対し、26日に行われた厚労省アドバイザリーボードで専門家から物言いが付いたと朝日新聞が報じています。

 ただ、アドバイザリーボードで「感染力が〇倍」との表現を用いているのです。「科学的でない」と指摘するなら、まずは我が身を省みるべきでしょう。

 

朝日新聞が報じた記事の内容

 朝日新聞が報じた記事は以下のものです。

 岸田内閣が打ち出した新しい新型コロナウイルス対策に「今夏の2倍程度の感染力を想定」して医療提供体制を強化すると表現したことについて、新型コロナ対策を厚生労働省に助言する26日の専門家組織で異論が相次いだ。「感染力が2倍」という表現は科学的ではない、といった指摘だ。

 岸田政権は15日に行われた感染対策本部での会合(PDF)で「今夏の2倍程度の感染力を想定」して『次の感染拡大への備え』をすると表明しています。

対策強化のポイント

 これに対し、厚労書アドバイザリーボードのメンバーから「『感染力が2倍』との表現は科学的ではない」との “物言い” が付いた形になります。

 ただ、それを言う資格がアドバイザリーボードにはないことは指摘しておく必要があるでしょう。

 

「デルタ株の感染力は1.5倍」と述べて議論していたアドバイザリーボードの面々

 理由は8月4日に行われた第46回新型コロナ感染対策アドバイザリーボードの議事概要(PDF)を確認すると以下の内容があるからです。

議事概要

(吉田構成員)
〇 デルタ株は感染力が1.5倍ほどあってということもあり、大規模商業施設で今までなかったような感染事例が起きているということ、接触歴が不明なものも増加しているというところを考えると、今まで感染の場と考えていなかった場所での感染が起こりつつあるのかという気がする。

 発言主の吉田構成員とは吉田正樹・東京慈恵会医科大学感染症制御科教授です。

 吉田教授が「デルタ株は感染力が1.5倍ほどあって〜」と言及しているのですから、「表現が科学的でない」との指摘をするなら吉田教授にも向けなければなりません

 「デルタ株の感染力はアルファ株の1.5倍」との表現を用いて『新型コロナの恐怖』を煽ったのは専門家やマスコミです。自分たちが追加対応を強いられるケースに対しては「科学的ではない」と批判するのは姑息と言わざるを得ないでしょう。

 

 アドバイザリーボードから “物言い” が付くきっかけとなった10月15日の感染対策本部で岸田首相は「幽霊病床の可視化」に言及しているのです。

 それをされると困る医療側にはゴネる要素があることを知った上で報道を見るべきだと言えるのではないでしょうか。