【人口動態統計速報】 2021年8月の出生数は前年を上回り、死者数は超過死亡が発生

  厚生労働省が2021年8月分の人口動態統計速報を発表していましたので内容を紹介いたします。

  出生数は速報値で7万5788人。これは昨年8月の速報値(7万5724人)を上回る値です。確定値は速報値よりも低くなりますが、それでも「昨年8月よりも確定値での出生数は多い」と言う事実に変わりはないでしょう。

  一方で死者数は「『将来推計人口の高位』で予想される数値と同等の死者」が報告されています。これは引っかかる点です。


人口動態統計速報(2021年8月分)

  前年同月と比較した人口動態統計(速報)は下図のとおりです。

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  出生数は「8月だけでは微増」ですが、「1月から8月までの累計では -4.8%」とマイナス分が大きいままです。

  一方の死者数は「前年同月比で +5.6%」でした。『1月から8月までの累計』では「5.7%」となっています。高齢化で死者数は増え続けるのですから、それほど深刻に捉える必要はないでしょう。


出生数(2021年8月・人口動態統計速報)

  出生数は『将来人口推計』から算出した “中位” に近い数値が速報値として報告されており、これはポジティブな点と見ることもできます。

  ただ、『今年1月の妊娠届出数』が「対前年同月比で -7.1%」と報告PDF)されており、この分が今年の年末頃に出生数として反映されると予想されます。

  そのため、「楽観視する要素は少ない」と言えるでしょう。


死者数(2021年8月・人口動態統計速報)

  『2021年8月の死者数』は “将来人口推計から算出した高位の数値” に迫る「約11万8000人」でした。

  絶対数では『同年5月の死者数』と同数であり、「2021年5月に超過死亡が起きていた」と主張するのであれば「今年8月も超過死亡が発生した」と言わざるを得ません。

  ただ、そう主張するには不都合な点もあります。なぜなら、「新型コロナの感染拡大による死者数の増加が超過死亡を引き起こした」との『5月の時点では使えた主張』が今回は使えないからです。

  「第5波での死者数」は「第4波での死者数」よりも少ないのです。この状況で「死者数は『将来人口推計の高位』とほぼ同数」となった訳ですから、「新型コロナ以外に原因がある」と見るべきでしょう。

  新型コロナの恐怖を煽りたい “(一部の)専門家” が「新型コロナが感染拡大した8月にも超過死亡が起きた」と誤解を招く表現を用いて騒ぎ立てる可能性があります。

  「8月にも新型コロナによる超過死亡が起きた」と言っていなければ虚偽ではありません。『新型コロナの感染拡大が起きた8月』と『(熱中症などの要因で)超過死亡が起きた8月』は別事象だからです。

  このような姑息な手法を使ってでも煽る輩はいると認識しておいて損はないのではないでしょうか。