『新型コロナ陽性者数と人流』の関係に無理が生じた東京都モニタリング会議が『夜間滞留人口』を理由にするも矛盾が露呈

 「人流を削減しなければ新型コロナの感染拡大は収束しない」と主張したものの大外れに終わった専門家が「『夜間滞留人口』が要因だ」と述べたことをマスコミが取り上げています。

 問題は「主張の根拠部分が仮定」であることです。街行く人々の新型コロナワクチン接種歴の有無を的確に測定する術はありません。

 また、専門家の推計どおりであったとしても矛盾が横たわったままであり、『新たな主張』も論外と言わざるを得ないでしょう。

 

東京都のモニタリング会議で提出された資料

 該当の資料(PDF)は9月24日に行われた東京都のモニタリング会議で西田淳志氏が提出したものです。これを使って FNN が報じたニュースを Dr. Tad と名乗るツイッターアカウントは以下のように共感しています。

 納得するかは個人の自由ですが、この資料には致命的な欠陥があるのです。矛盾に気づくことができるかが重要と言えるでしょう。

 

西田淳志氏が提出した資料に含まれる問題点

1: 『ワクチン未接種者の夜間繁華街への外出状況』を把握する術は存在しない

 西田淳志氏は東京都で第5波が急速に収束した理由を「『ワクチン未接種者の夜間滞留人口』が昨年4月の第1波と同じぐらいにまで低下したから」だと主張しています。

 しかし、『ワクチン未接種者の夜間繁華街への外出状況』を把握する方法はありません。そのため、西田氏は『(ワクチン接種率を用いた)仮定値』から算出した『推計値』を用いています

ワクチン未接種者の推計方法

 これでは使い物になりません。

 『ワクチン接種率を用いた仮定値』から『(ブレークスルー感染の)推計値』を算出することは可能ですが、『実測値』と同じである保証はないことと同じです。一般人ならまだしも専門家がこの認識を欠いているなら即座に解任すべきでしょう。

 

2: 2021年5月中旬からは「夜間滞留人口が増えるも感染者は減」という矛盾

 西田氏の掲げた『新たな主張』が正しいと仮定するなら、「2021年5月中旬からの1ヶ月」は矛盾が生じています。その期間は夜間繁華街での滞留人口が増えるも新規陽性者が減少し続けているからです。

西田氏が提出した資料に含まれる矛盾点

 日本で新型コロナワクチン接種が “高齢者を中心に” 始まったのは「5月上旬の連休明け以降」です。

 夜間繁華街にいる『新型コロナワクチン未接種者』の絶対数が増加している状況で『新型コロナ陽性者数』は減少しているのです。この矛盾を説明できないのであれば、西田氏の主張は「その場しのぎ」と見なさざるを得ないでしょう。

 

 東京都のモニタリング会議も『厚労省のアドバイザリーボード』や『政府分科会』が8月中旬に示した「人流を削減しなければ感染が収束する見込みはない」との見解に追従していました。

 「陽性者数と人流に相関がないこと」が浮き彫りとなってしまったので大慌てで「陽性者数と夜間滞留人口には相関がある」との辻褄を合わせようとしているのでしょう。しかし、それでは “過去の波” を説明できない矛盾を突き付けられる結果となっています。

 「悪天候で外出が減った」と弁明した専門家もいましたが、それなら「減少に転じる要素はない」と(8月半ばに)断言した専門家は責任を取らなければなりません。専門家の責任を免罪しているからコロナ禍が続く結果を招いているのではないでしょうか。