村中璃子氏、シンガポール等の事例を無視して「1%でもワクチン接種率を上げよう」と主張

 ドイツで新型コロナ陽性者数が増加しているニュースを受けた医師の村中璃子氏が「ドイツよりもワクチン接種率が 10% ほど高い国は踏み留まっているから 1% でも1回でワクチン接種をすべき」と主張しています。

 この主張はシンガポールなど他国の感染状況を無視したものです。『陽性者数至上主義』や『ワクチン万能論』に多い “切り取り” に手を染めており、科学的な根拠と言わざるを得ないでしょう。

 

ワクチン接種率が 80% 台のシンガポールで感染爆発が起きている

 村中氏の主張を受け入れるべきではない理由は「ワクチン接種先進国であるシンガポールでドイツを上回る新型コロナの感染爆発が起きているから」です。

 シンガポールの新型コロナワクチンの接種率は8割に到達しており、これはドイツよりも高い水準です。しかし、『人口あたりの新型コロナ陽性者数』はドイツよりも多いのです。

 ワクチン接種率が高い国ほど感染爆発を抑えられるのなら、シンガポールの『人口あたりの新型コロナ陽性者数』はドイツよりも低位のはずです。そうではない時点で『ワクチン万能論』は却下されるべき代物と言えるでしょう。

 

死者数が冬季よりも少ないなら騒ぐ必要はない

 ドイツで新型コロナ陽性者数が増加していることは事実ですが、『新型コロナによる死者数』が昨年末から今年の年始にかけての冬季よりも少ない状態であることに触れないのはアンフェアです。

 致死率に言及されると(新型コロナワクチン接種を嫌忌されるなど村中氏にとっては)不都合なことがあるのでしょう。

 しかし、“時間が経過するごとに接種効果の下方修正が施されているワクチン” という実態に触れずに接種を勧める姿勢はマイナス面が大きくなるだけです。

 

「ワクチン接種は常識」から「HPVワクチンを接種しよう」に結び付けたい思惑が透けて見える

 村中氏(や『こびナビ』)が新型コロナワクチンを全員に接種させたい理由は「HPV ワクチン接種による実績作りをしたいから」でしょう。

 HPV ワクチンは厚労省が『A類疾病』に認定している「誰もが受けるべき予防接種」ですが、副反応などの問題でメディアから叩かれたために接種の積極推奨が撤回された状態にあります。

 この接種を再開させたいのです。そうすれば、若い女性を中心に一定数が子宮頸がんで命を落とさずに済みます。

 接種再開に奔走した医師らは『実績』を学会などでアピールできるため、“ワクチン嫌忌” の風潮を変えるために「新型コロナワクチンを接種せぬは非国民」と煽る動機は十分にあると言えるでしょう。

 

 ただ、新型コロナワクチンは効果は「続いて半年程度」という代物です。しかも若い世代ほど接種効果による恩恵はなく、接種行為による恩恵や利他目的での接種を求められる “粗悪品” です。

 また、若い女性では「子宮頸がんによる死者数」よりも「2020年に報告された自殺者の前年度からの増加分」の方が多いのです。

 『コロナ対策によって増加した若者の自殺者数』が『HPVワクチン接種で救える命』よりも多くなってしまっては本末転倒です。

 科学的な根拠に基づく主張をするなら、新型コロナ以外にも対象を広げるべきです。それをしないツケを命で払うのは若者(や子供たち)なのですから。