日本で『ドイツでの感染拡大』を根拠に煽るのは無意味、「デルタ株(B.1.617.2)による感染拡大」だから

 ドイツで新型コロナ陽性者数が過去最多を記録したことで「子供たちの感染が急増しているからワクチン接種をすべき」や「日本も同じようになる恐れがあるから対策を続けるべき」との論調が散見されます。

 しかし、これらの主張はいずれもドイツ当局の公式発表を確認したものとは言えません。

 少なくともロベルト・コッホ研究所の発表した “新規陽性者数以外の項目” も見るべきですし、初冬に感染拡大が起きた原因を認識した上で「正確な情報を発信すべき」と言わざるを得ないでしょう。

 

ワクチン接種推進派は「子供たちの新規感染者数が増えていること」を強調する

 ドイツ国内での新型コロナ感染状況は連邦保健省の下にある『ロベルト・コッホ研究所』が発表する数値が根拠となります。毎週木曜日に週報が発表されており、現時点では2021年11月18日版(PDF)が最新です。

 その中に掲載されている『年齢区分別の週ごとの新規陽性者数』が以下です。

ドイツ国内における年齢区分別の週ごとの新規陽性者数

 ドイツでは2021年の第34週(≒8月下旬)から『10代前半の新規陽性者数』が増加。そのまま高水準で推移したことから「新型コロナは “子供達の病気” となったのでワクチン接種で防ぐべき」との主張がされています。

 しかし、第43週(≒10月末)には『全年齢層での新規陽性者』が “ほぼ同時期” に感染爆発と至ったのです。ワクチン未接種の子供に責任を押し付けるのは無理があると言わざるを得ないでしょう。

 

ドイツでも「子供は入院すらしていない」というワクチン接種推進派にとっての不都合な真実

 次に、「子供を新型コロナから守るためにワクチンを接種させるべき」との主張がありますが、そのメリットはドイツでも示されていません。その根拠となるのが『ドイツでの新規入院者数』です。

年齢階層別の新規入院者数

 2021年の第25週(≒6月下旬)以降、『15歳未満の新規入院者数』は “低空飛行” が続いています。第34週(≒8月下旬)から『新規陽性者数』がレッドゾーンに突入した後もです。

 夏場は閑散としていた重症者病床が埋まっているのであれば、それは秋以降に入院者数が跳ね上がった『60〜70代(水色で表記)』や『80代超(オレンジで表記)』が主な要因です。

 これらの事実を確認する手間を怠り、『新規陽性者数の総数』を強調してワクチン接種で生じる心筋炎などの副反応を無視する形で煽るのは論外でしょう。

 

日本で『デルタ株(B.1.617.2)』による感染拡大が起きる可能性はゼロに等しい

 また、「ドイツのような感染拡大が起きる(恐れがあるから感染対策を続けるべき)」との主張も事実確認がされていない煽りです。

新型コロナウイルスの系統別検出状況(ドイツ)

 2021年11月以降にドイツ国内で猛威を振るっているのは『デルタ株』で PANGO 系統は "B.1.617.2" です。この "B.1.617.2" が「すでに日本で流行済み」であることは専門家なら知っていて当然でしょう。

新型コロナウイルスの系統別検出状況(日本)

 10月13日に開催された第55回・新型コロナ対策アドバイザリーボードに提出された資料(PDF)で今夏の第5波は "B.1.617.2" によるものと記されているからです。

 その後、デルタ株は「150種類以上のAY型区分が導入された」ことで日本で流行した "B.1.617.2" は "AY.29" と表記されることになりましたが、「各型の感染症的な差異を表すものではない」と東京都健康安全センターは言及しています。

 

 日本では「1つの型が1つの波を形成している状況」が続いていることから、「ドイツでの『デルタ株(B.1.617.2)』による感染拡大が日本で再び起きるという状況は起こり得ない」と現段階では結論付けることができるでしょう。