【人口動態統計速報】 2021年7月の出生数はやや持ち直し、死者数は『推計死亡数・中位』に戻る

  厚生労働省が2021年7月分の人口動態統計速報を発表していましたので内容を紹介いたします。

  7月分の大まかな傾向は「先月(=2021年6月)と同じ」でした。出生数は「前年同月比で -3.3% と悪化」しているものの、今年1月と2月の落ち込み幅があまりに大きかったため、「7月までの累計出生数は -5.6% にまで緩和」する状況となっています。

  2021年7月の出生数は「前年同月より2522人少ない7万4263人」死亡数は「7373人多い11万2222人」と発表されています。


人口動態統計速報(2021年7月分)

  前年同月と比較した人口動態統計(速報)は下図のとおりです。

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  出生数の増減率は -3.3%。7月分だけでは「例年と同等」なのですが、今年1月と2月は出生数が極端に少なかったため、「7月までの累計増減率は -5.6% と低水準」になっています。

  8月以降の出生数は「例年どおり」で推移する場合でも「今年1月と2月のマイナス分」を払拭することはできません。そのため、少子化の進行が加速する結果となるでしょう。

  一方の死者数は「『推計死亡数・中位』をやや上回る数値」となりました。先月は「『推計死亡数・高位』に近い数値」でしたから、「新型コロナ第4波の収束が統計でも示された」と言える根拠になり得るでしょう。


出生数(2021年7月・人口動態統計速報)

  出生数は「昨年11月と12月が『推計出生数・低位』と同水準」で「今年1月と2月は『推計出生数・低位』を下回る水準」と散々でした。

  3月以降は「『推計出生数・低位』を上回る水準」をキープしているものの『推計出生数・中位』に達した月はありません。

  「それだけ少子化が進行している」ということですから、高齢者にばかり目を向ける政治が少子化問題に取り組む考えはないと見なさざるを得ないでしょう。


死者数(2021年7月・人口動態統計速報)

  死者数は許容範囲内です。2021年7月分の死者数は速報値で11万2000人。『推計死亡数・中位』が11万人ですから、騒ぐ要素にはなり得ません。

  国立感染研が発表する超過死亡の数値を持ち出して「去年よりも超過死亡が多く発生している」と騒ぐ人がいますが、感染研が発表した『超過死亡を判断するベースライン(≒基準値)』に致命的な誤りがあることに留意しなければなりません。

  具体的に言うと、2020年上半期は死者数が『推計死亡数・低位』で推移する異常事態でした。それを用いて算出した基準値が使い物にならないのは明らかでしょう。

  高齢化が進行する日本では死者数は毎年増えますが、感染研による超過死亡のベースラインは「2020年よりも低く設定」されているのです。このような “からくり” が含まれていることを知っていて損はないと思われます。