『制限の緩和時期』に対する回答を拒否する河野太郎氏は『酒類提供など制限の科学的根拠』を先に提示せよ

 自民党総裁選に出馬している河野太郎候補が9月22日に出演した TBS の番組で『新型コロナの感染拡大を抑制するための制限を緩和する時期』を問われた際に回答を拒否したと日経新聞が報じています。

 回答を拒否するのであれば、「『現行の対策』が正当である」との科学的な根拠を示さなければなりません。対策による損害・損失が生じているのです。対策の費用対効果が問われるのは当然のことだからです。

 

日経新聞が報じた内容

 日経新聞が取り上げたのは自民党総裁選に出馬した河野氏を含む4候補が出演した TBS の News23 で番組キャスターから「酒類提供など制限の緩和時期はいつ頃か」との質問が向けられた際の回答です。

 河野太郎行政改革担当相は自民党総裁選の4候補が出演した22日のTBS番組で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う酒類提供など制限の緩和時期を問われ「無責任な質問はよくない。科学的データなしに聞くのはおかしい。メディアに反省してもらわないといけない」と回答を拒否した。

河野氏、テレビ質問を批判 コロナ規制解除で

 この回答は墓穴を掘っているのですから、その指摘をされなかっただけでも河野氏は番組キャスターに感謝すべきでしょう。それだけ河野氏の考えは「特定の見解」に偏り、合理的思考を欠いているからです。

 

『新型コロナ対策による制限』の継続を容認するなら、制限の科学的根拠を “先に” 提示せよ

 河野氏は『現行の新型コロナ対策による制限』の継続を容認しているから「制限解除の前提となる(科学的な)データのない中で何ができるのか」との言動が出るのです。ただ、このロジックには致命的な欠陥が存在します。

 それは「『現行の新型コロナ対策による制限』の根拠となる科学的なデータが示されていないから」です。

 現行の対策は「飲酒が問題」と主張しているに等しいのですが、それを裏付ける根拠を示されることなく継続中されています。政治家や専門家の根拠を示すことができない思い付きで『自由』が制限されることは大きな問題です。

 「(豊かになることを夢見て)普段どおりの生活を送る」という『基本的人権』を制限していることと同じなのですから、政策の正当性があることを証明する意味でも科学的根拠を示すことが責務と言えるでしょう。

 

愛知・常滑での『NAMIMONOGATARI』で新型コロナの感染は拡大したのか?

 8月末に愛知県常滑市で行われた『NAMIMONOGATARI』では酒類が提供されていたことを理由にメディアなどは「感染が拡大する」との批判が起きていましたが、そうした声への “総括” は政治や専門家をしなければなりません。

 河野氏が科学的なデータに基づく判断ができる人物なら「『NAMIMONOGATARI』の参加者での新型コロナ陽性率」と「愛知県など主な都道府県における陽性率」の比較をしていることでしょう。

 『NAMIMONOGATARI』でのコロナ陽性率が(市中での陽性率よりも)高い場合は「酒類提供」を感染拡大の要因にすることは可能です。しかし、実際の数値は「市中での陽性率と同程度」に留まっており、政府が求める人流削減の効果に疑念が持たれることは避けられません。

 陽性者数と人流は連動していませんし、飲食店での飲酒に関しても根拠となるデータは示されていないのです。

 河野氏を「何となく続いている惰性や慣例をぶち壊す能力はピカイチ」と評する声もありますが、それなら『マスクや酒類提供をなどの(新型コロナ対策の名目で行われている科学的根拠の乏しい)制限』を撤廃できないと辻褄が合いません。現状では河野氏も同類と見なされてしまうことでしょう。

 

 現行の新型コロナ対策では「(風邪を罹患すると致命的な)後期高齢者の命を延命させる」こととの引き換えに「旅行業や飲食業を中心に甚大な悪影響が生じる」こととなっています。

 現行対策の費用対効果が問われるのは当たり前ですし、『対策によって命拾いをした人々や業界』は『対策のしわ寄せを受けた人々や業界』に “恩返し” をしなければなりません。その責務から逃れようとするなら、報復による “倍返し” が現実味を帯びることになってしまうのではないでしょうか。