(一部の)専門家が懸念を示す「新型コロナのリバウンド」が発生しない理由
新型コロナの新規陽性者数が減少に転じると、「リバウンドが懸念される」と警鐘を鳴らす専門家が散見されます。
その懸念が現実に発生したことはありませんし、今後も起きることはないでしょう。なぜなら新型コロナの感染拡大は「波ごとに “株” の種類が違っているから」です。
また、『リバウンド』という言葉の定義もされていません。『医療逼迫』と同じで「医療業界が新型コロナを煽ることで世間の動きをコントロールするための方便」と言わざるを得ないでしょう。
新型コロナのゲノムサーベイランスによる系統別検出状況
専門家が懸念するリバウンドが起きない理由は厚労省アドバイザリーボードが発表した『変異株への対応等』の資料(PDF)を確認すれば明らかです。
今夏の第5波まで観測されていますが、どの波においても感染拡大の中心となった『ウイルスの系統』は異なるという特徴があります。
一部の専門家がリバウンドを懸念したところで、“勢力を失ったウイルスの系統” が復権に成功した事例は存在しないのです。この事実を認めない限り、専門家の予想は外し続ける結果となるでしょう。
日本国内で流行した新型コロナウイルスの系統
ちなみに、日本国内で今夏の第5波までに流行した新型コロナウイルスの系統は以下のとおりです。
- 第1波: 2020年3月〜4月
- 欧州系統が中心
- 系統: B.1.1.114
- 第2波: 2020年夏
- 欧州系統から派生
- 系統: B.1.1.284
→ 図中では『緑』で表示
- 第3波: 2020年12月〜2021年2月
- 欧州系統から派生
- 系統: B.1.1.214
→ 図中では『紺』で表示
- 第4波: 2021年3月〜5月
- イギルスで確認された『アルファ株』による感染
- 系統: B.1.1.7
→ 図中では『赤』で表示
- 第5波: 2021年7月〜9月
- インドで確認された『デルタ株』による感染
- 系統: B.1.617.2
→ 図中では『ピンク』で表示
専門家がどれだけ煽ろうと『デルタ株(系統: B.1.627.2)』による感染拡大は収束します。
次の第6波では『デルタ株(系統: B.1.627.2)』とは別系統の新型コロナウイルスが中心となるため、入れ替わりに時間を要することが過去の実績からは明らかです。
こうした情報が「専門家の予測」には反映されていないのですから、世間からの信用を失うのは当然と言えるでしょう。
イスラエルのように『異なる系統のデルタ株』での感染拡大なら起こり得る
今年の冬に『B.1.627.2 とは異なる系統のデルタ株』による感染拡大であれば、起きる可能性はあります。イスラエルという前例があることが理由です。
東京都健康安全センターが変異株のスクリーニング検査で諸外国の数値を紹介するために用いている outbreak.info からイスラエルの状況を確認しますと、イスラエルでは『デルタ株』による感染拡大が起きていることが読み取れます。
しかし、感染拡大を引き起こしている『デルタ株』の系統は『AY.12』。『B.1.627.2』とは別系統で、『AY.12』は「懸念すべき変異株 (VOC)」や「注意すべき変異株(VOI)」には含まれていません。
イスラエルにとっての好ましくないシナリオは「『AY.12』の勢力が衰えることとの “入れ替わり” で『B.1.627.2』の勢力拡大よる感染拡大が起きること」です。この場合は「新規陽性者数の高止まり」が生じると考えられるため、厄介なことになるでしょう。
日本の場合は「コロナウイルス界の絶対王者」が君臨しているに等しい状況であるため、凋落した王者の “復権” や “権力移譲” が起きたケースはありません。専門家が賢者であるなら『歴史』に学ぶべきでしょう。実体験や経験からも学べないなら論外と言えるのではないでしょうか。