ファイザー、FDA に「2ヶ月ごとに予防効果は 6% ずつ減少するためブースター接種の許可を」と主張する資料を提出

 ファイザーが「新型コロナワクチンの予防効果が2回目接種後に減衰していく」との治験結果をアメリカ食品医薬品局(FDA)に提出したと日経新聞が報じています。

 ワクチン接種の効果が減衰するのはイスラエルやイギリスでの調査で判明していたことです。それが製造元であるファイザー社も正式に認めたことがニュースと言えるでしょう。

 

ファイザー社が提出した資料

 ファイザー社が FDA に提出した資料は一般公開されており、ワクチンの接種効果は下図のように減衰すると認めています。

ファイザー製の新型コロナワクチンの有効性

 2回目接種完了時から1ヶ月以内での有効性は 97%。接種後2〜3ヶ月では 88% となり、接種後 3〜4 ヶ月では 84% にまで減少。2回目の接種から4ヶ月以降が経過すると有効性は 67% にまで低下している状況です。

 また、デルタ株に対する有効性は『上述の数値』よりも低いため、これらのデータを根拠に「3回目接種(=ブースター接種)」の許可を得る計画だと考えられます。

 

ファイザー製の新型コロナワクチンの有効性が半年ほどなのは既知の事実

 ファイザー製の新型コロナワクチンが「半年ほどの効果」であることは過去にイスラエル保健省が2021年7月に発表したデータで示されています。

イスラエル保健省が発表した新型コロナワクチンの有効性
表:イスラエルにおける時期別のワクチン接種の有効性
調査期間 感染 発症 入院 重症化
1/31 〜 2/27 94.3% 96.8% 97.1% 97.4%
2/28 〜 3/27 96.9% 97.9% 98.4% 98.8%
3/28 〜 5/1 95.8% 97.4% 99% 99%
5/2 〜 6/5 94.3% 95.6% 98.2% 98.4%
6/6 〜 7/3 64% 64.2% 93% 93.4%
6/20 〜 7/17 39% 41% 88% 91%

 ファイザーは「2回目接種から4ヶ月以降」と全体を曖昧にしていますが、“2回目接種から約半年が経過した人” を対象にした追跡調査を行えば同様の結果が示されることでしょう。

 

イギリスでの調査結果とも一致する内容

 また、フィナンシャル・タイムズが報じたイギリスでの新型コロナワクチン効果への調査結果とも一致しています。

イギリスでの新型コロナワクチンの有効性への調査

 「ワクチンの有効性が低下していること」を理由に FDA は『3回目接種の申請』を許可することでしょう。ただ、『3回目接種で得られる有効性の持続期間』は不明です。

 2回目接種では「わずか半年」でしたから、それよりも短くなる可能性は十分にあります。

 

 そもそも『3回目接種を前提にしたワクチン』ではないのですから過剰な期待をすべきではありません。ウイルスは変異する性質がありますし、『ワクチンで淘汰されない(≒ 一定の耐性を持った)株』が “結果的に” 生き残るという現実を予想して対策を講じる必要があります。

 専門家と持ち上げられている責任者にその能力が備わっているかが極めて重要と言えるのではないでしょうか。