【イギリス政府】 ジャビド保健・社会介護大臣が「ワクチンパスポート計画の破棄」を BBC で表明

 イギリスのタイム紙が報じた「ジョンソン首相がワクチンパスポートの計画廃止を表明へ」との記事に続き、ジャビド保健・社会介護大臣が BBC で「ワクチンパスポート計画の破棄」を言及しました。

 “日本よりも新型コロナの感染者数や死者数が多いイギリス” で『ワクチンパスポート』は計画そのものが破棄される状況なのです。日本の政府分科会や尾身氏が導入を求める『ワクチンパスポート』は根本的な部分で見直しが必要と言わざるを得ないでしょう。

 

BBC が報じた内容

 BBC が9月12日付で報じた記事は以下のものです。

 取材を受けたジャビド保健・社会介護大臣は「それ(=ワクチンパスポート)のために何かをすべきでない」と発言。当初の方針から “Uターン” することとなっています。

 ただ、他にも見逃せない発言をしており、下記の発言があったことは把握しておくべきでしょう。

  • he wanted to "get rid" of PCR tests for travel and has asked for advice on the issue
  • he was "not anticipating" any more lockdowns, although it would be "irresponsible to take everything off the table"
  • if the UK's chief medical officers advised 12 to 15-year-olds should be vaccinated, "we can start within a week" and schools were already preparing for it. The UK's advisory body - the Joint Committee on Vaccination and Immunisation (JCVI) - has recommended against doing so except for children with particular health problems - but the final say is with the CMOs.

 ジャビド保健・社会介護大臣は「旅行の際の PCR 検査を撤廃することも求めている」のです。これは「本件へのアドバイスを要求」しており、政治家の圧力とは別問題と言えるでしょう。

 また、ロックダウンの実施に関しては否定しています。方向性としては『経済活動』が『感染対策』よりも優先する形であり、“イギリスよりも新型コロナの感染状況が軽微な日本政府” が対応を追従しないなら説明責任を果たす必要があるはずです。

 

イギリス(およびイスラエル)と日本での新型コロナ感染状況

 イギリス・イスラエル・日本における新型コロナの新規陽性者数(7日間平均)は以下のとおりです。

 ファイザー製のワクチン接種先進国であるイスラエルが「年始の感染者数(≒陽性反応者数)を超える数値」を計上し、散々な状況となっています。

 イギリスは「人口10万人あたり500人前後の新規陽性者数」で推移。年始よりも陽性者数は少ないものの、高止まりが懸念点と言えるでしょう。日本は陽性者数が過去最悪を記録したものの、イギリスやイスラエルの半分未満の水準です。

 また、死者数では(少なくとも日本は)騒ぐ必要がないことも事実です。

 一部の専門家は「油断すると海外のように新型コロナによる死者が多数発生するぞ」と脅していますが、諸外国では「今夏に発生した死者数なら許容範囲」と見なした対応を採っています。

 その数値に達するには「日本で記録した過去最悪の死者数の2倍」が必要であり、日本のコロナ対応は過剰と見なされることでしょう。

 日本は「高齢化が最も進行する国の1つ」で高齢者の絶対数が多いことから、「新型コロナによる被害が深刻になる」と予想されていたことが理由だからです。

 

スコットランドでは『ワクチンパスポート』は導入される方向

 余談ですが、イギリスのスコットランドでは『ワクチンパスポート』は導入される見通しとなっています。

 イギリスは連合王国であり、ジャビド保健・社会介護大臣が言及したのはイングランドでの話です。したがって、独自路線を採ることが可能なスコットランドは『ワクチンパスポート』を導入する方向と BBC が上述の記事内で言及しています。

 とは言え、イギリスの GDP はイングランドが大部分を占めており、イングランドがワクチンパスポートを見送るインパクトが大きいことは事実です。

 スコットランドは北海油田やクライド海軍基地など景気に左右されない収入源を有しているため、サービス業に制約を設けても損失はそれほど大きくないという立場にあります。

 この条件を満たさない国や地域がワクチンパスポートの導入をしても損害が大きくなるだけであることは留意すべきでしょう。