手を洗う救急医こと木下喬弘氏、「変異がなければコロナワクチンの効果を半年は期待できた」などと詭弁を展開

 『こびナビ』で副代表も務める木下喬弘氏が「新型コロナワクチンの効果は変異がなければ半年は十分に持つはずだった」などとツイートしています。

 これらの主張は雑すぎる認識に基づくものと言わざるを得ないでしょう。また、このような認識を持った人物がワクチンを推奨し、「ワクチン接種」を求めて吉村健佑氏と共に大臣だった河野太郎氏へ陳情した事実を記録しておく必要があります。

 

コロナウイルスは変異が当たり前で「変化が速い傾向」にある

 まず、風邪の特効薬が作られない理由は「風邪の原因となるウイルスが変異するから」です。

 インフルエンザウイルスやコロナウイルスは「RNAのゲノムを持つウイルス」であり、「RNAを遺伝情報の実体とするウイルスで(変化が)速い傾向にある」と東北大のホームページでも紹介されています。

 よく話題にあがるインフルエンザウイルス、エイズウイルス、そしてコロナウイルスは、いずれも一本鎖のRNAのゲノムを持つウイルスで、外側はエンベロープで包まれていますが、それぞれで異なる特徴をもっています。

 (中略)

 ウイルスの遺伝情報の変化のはやさは、ウイルスの種類によって異なるのですが、いくつかの共通する理由があり、特にRNAを遺伝情報の実体とするウイルスではやい傾向があります。

 つまり、木下氏の「元々変異さえなければ半年は十分持つはずだった」との主張は前提から間違っているのです。この事実は極めて深刻と言わざるを得ないでしょう。

 

デルタ株への対応ができなかった『mRNAワクチン』を迅速に改良するのは困難

 理論上は『変異したRNAウイルス』に対応した『改良版の mRNA ワクチン』をリリースできれば、接種効果をある程度は期待できます。しかし、このアイデアは夢物語です。

 理由は「ウイルスの変異にワクチンの開発が間に合わないから」です。

 インドでデルタ株が発見された際に『改良版ワクチン』の開発・製造に乗り出さなかった現実があります。オミクロン株では2021年12月に「開発」が表明されましたが、「実用化」が現実となる2022年3月の時点では多くの国で感染が収束していると予想されます。

 『オミクロン株対応ワクチン』を接種したところで、新型コロナは『オミクロン株対応ワクチンを回避した変異株』として生き残ります。そうなった場合の毒性は未知数ですが、『オミクロン株対応ワクチン』で最終解決することはありません。

 

抗体価は「(変異株によるウイルス感染への)抵抗力を示したものではない」

 木下氏は「ワクチンを接種すると高い抗体価が得られる」と主張していますが、抗体価が高くても感染・発症・重症化を予防する保証にはなりません。反証はイスラエルでの感染状況です。

 2回目接種を終えていたイスラエルは2021年夏にデルタ株による感染拡大が発生。8月から高齢者を中心にブースター接種を敢行しました。

 そのイスラエルは2021年の年末からオミクロン株による感染拡大に見舞われ、1日あたりの新規陽性者数は約50000人。入院中の重症者数は「(デルタ株による感染拡大時のピーク値の半分を超える)400人弱」にまで急上昇をしています。

 ワクチン接種による抗体価はイスラエルでも上昇しているはずですから、「抗体価の高さ」は「イスラエルの感染状況」という事実の前では『珍説』と見なされることになるでしょう。