「コロナ後を見据えた外需を掴めた製造業」と「内需を止められた運輸・旅行業」の明暗が分かれる
読売新聞によりますと、東証1部上場企業の業績が急回復しているとのことです。
ただ、内容を見ると皮肉な結果が生じていると言わざるを得ないでしょう。業績が回復しているのは「外需の取り込みに成功した製造業」で「(諸外国より新型コロナの感染状況がマシな日本の)内需に頼る業界の苦境は継続中」だからです。
東証1部上場企業の業績が急回復している。SMBC日興証券によると、12日までに2021年4~6月期決算を発表した1280社(金融とソフトバンクグループを除く全体の96・0%)の最終利益の合計は前年同期の5・2倍に膨らみ、15%の194社が通期の業績見通しを上方修正した。一方、運輸・旅行などは苦境が続いており、業績格差が広がっている。
(中略)
通期の最終利益を上方修正した194社のうち、製造業が135社と7割を占め、好調ぶりが際立つ。ワクチン接種が進む欧米や感染拡大を比較的抑え込んでいる中国など経済回復で先行する海外の需要を取り込み、新車販売などが伸びている。
コロナ後見据えた外需追い風、製造業が急回復…苦境続く運輸・旅行と格差広がる;読売新聞
コロナ禍に見切りを付けた諸外国では需要が回復
東証1部上場企業の業績が急回復する要因となっているのは製造業です。
自動車などの製造業は欧米市場や中国市場での需要が戻ったことで業績が急回復。裾野が広い産業であるため、製造業全体の業績を回復させる “エンジン” となっています。
ただ、指摘しなければならないのは「(ワクチン接種の進む)欧米の新型コロナ感染状況は日本よりも深刻な水準にある」という事実です。
また、『新型コロナ陽性者数』だけでなく『新型コロナによる死者数』においても傾向は同じです。
欧米諸国では回復している需要が日本では回復していないのです。これは「政府が採用する対策方針に問題がある」と言わざるを得ないですし、経済を停滞させる政策を採るよう提言した専門家も責任を負わなければなりません。
内需を止めて運輸・旅行業などで苦境に追い込んでまで後期高齢者や医療を守る価値はあるのか?
「もっと厳しい自粛を求めるべき」と主張する人は『それによって生じる弊害』をどうするのかの自らの見解を明らかにすべきでしょう。
内需を止めることで運輸・旅行業などが苦境に追い込まれることは1年前の時点で分かり切っていたことです。それに「10代や20代での自殺者数の増加」など『予想された問題』が的中する結果となっています。
要するに、『新型コロナ罹患で死亡する高齢者』と『新型コロナ対策のしわ寄せで死亡する若者』のどちらを優先して守るのかが問われているのです。
どちらも守るは通用しません。なぜなら、両者はトレードオフの関係にあるからです。
“現役世代(や将来世代)が支払っている税金や社会保険料で生計を立てている高齢者” や “高齢者への過剰な医療行為で報酬を得ている医療” を優先する意義を見出すことは困難です。日本は平時ですら「一線を越えた状態」にあるため、現状は「やりすぎ」と言わざるを得ません。
高齢者しか見えていない医療従事者や政治家が「救える命も守れなくなる」などと訴えるのは噴飯物です。治療費の請求を現役世代や将来世代に押し付けたことを無視したキレイゴトですから反感を買う結果になるだけです
高齢者や医療のために内需を止め、現役世代を苦境に追い込む政府や専門家が支持されることはないでしょう。
シルバー・デモクラシーに乗っ取られた国が歩む道は「衰退」です。高齢者と医療を守るための新型コロナ対策で雇用保険の積立金が底を突き、それを労働者の負担増で補填など本末転倒でしょう。それがまかり通っていることが深刻さを示していると思われます。