「酒禁止でも感染増加に歯止めがかからない」のなら、「飲酒と感染者の関係性は低い」と判断せざるを得ない

 朝日新聞が「7月27日に東京都から報告された新型コロナの感染者数が冬の第3波を超えて過去最多の2848人に達した」ことをニュースにしています。

 「厳しい酒類提供制限があるにも関わらず」との指摘ですが、これは前提が間違っていると言わざるを得ないでしょう。理由は「感染者数と酒類提供制限の間に相関を見出せないから」です。

 

 東京都内で27日、新型コロナウイルスの感染者が2848人に上り、冬の第3波を超えて過去最多となった。第3波時よりも厳しい酒類提供の制限がかけられていたのにもかかわらず、これまでの最多だった2520人(1月7日)超えを食い止めることはできなかった。4度目の緊急事態宣言が出てから2週間が過ぎたが、感染拡大は収まることなく、初めて3千人を超える懸念が強まっている。

感染者数、過去最多の東京 酒禁止でも歯止め効かず

 

“3度目の緊急事態宣言” が出ていた時から今回の感染拡大が始まっている

 まず、東京都内での新型コロナの感染状況を確認する必要があります。

東京都から報告された新型コロナ陽性者数

 今回の波は「東京都に3度目の緊急事態宣言が出されていた6月中旬」が起点です。現在の感染者(=陽性反応者)は『2週間前の状況』が反映された数値との前提があることに留意しなければなりません。

 解除から2週間も経たない間に感染者数が増加に転じたのであれば、『緊急事態宣言時に採られていた対策』の効果に対して疑問を持たなければならないと言えるでしょう。

 

朝日新聞が記事のタイトルに使った「酒禁止」は完全なミスリード

 次に、朝日新聞が記事のタイトル中に用いた『都 酒禁止でも感染歯止め効かず』の「酒禁止」は誤報と言うべきミスリードです。

 東京都などの自治体がしているのは「特措法に基づく酒類提供停止の要請」です。要請ですから、応じなくても違法ではありません。法律で禁止されている行為とは別物であり、酒禁止の表記は誤報と指摘せざるを得ないでしょう。

 専門家が「飲酒」が感染拡大の主要因だと考えているなら、第4波までに重症者病床を埋める最大の原因だった医療機関や高齢者施設の全関係者に対する『禁酒令』を法律化するよう政治に働きかけていたはずです。

 しかし、そのような提言すらありませんでした。それがすべてを物語っています。欧米よりも1桁以上少ない感染者数で逼迫する脆弱な医療制度で得ている利権を守るためのスケープゴートに『政治力の乏しい飲食業』が選ばれただけだからです。

 

重症化しないウイルスのために自らの生活を犠牲にすることを求めるのは無理がある

 新型コロナの恐怖を煽ったところで自粛に協力する人が増えることはないでしょう。そもそも、現役世代は新型コロナを罹患しても重症化する確率が高くはないからです。

 自粛による恩恵を享受した高齢者や医療業界は『自粛によるしわ寄せが行くことになった現役世代や業界』に対して「何を還元したのか」を明確に示す必要があります

 『増大する社会保障』が巨額の財政赤字を生み出し続けている日本で高齢者や医療に最大限の配慮をすること事態が異常なのです。どこかのタイミングで “パンドラの箱” が開くことになるでしょう。

 社会全体の責任を負うことのない『一部の感染症専門家』の提言を鵜呑みにする政策は見限らなければならない状況に来ているのではないでしょうか。