「オミクロン株以降では『重症者のカテゴリ』になる前に死亡するので以前とは違う」との虚偽情報をツイートする医クラ

  BA.5 による新型コロナの感染拡大では重症化率が季節性インフルエンザを下回っている状況が否定できなくなりました。

  これに対し、「オミクロン株以降では『重症者のカテゴリ』になる前に死亡するので感染拡大防止策は必要」とのツイートが確認できます。しかし、この主張は虚偽と言わざるを得ません

  なぜなら、大阪府が発表している『事例の経過』を確認すると「『重症者のカテゴリ』になる前に死亡する症例の方が2020年夏の第2波から2021年夏の第5波まで4回連続で多かった」からです。

  コロナ対策を継続させたい “医クラ” が行政の発表データを無視して我田引水をしているのです。このような医療デマに対する自浄作用が働かないのであれば、医療への不信は増すばかりでしょう。


大阪府新型コロナウイルス対策本部会議が発表済の資料

  「新型コロナ陽性反応者が『重症者のカテゴリ』になってから死亡する症例の方が多かったか」を公的資料から確認することは可能です。これは大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議が第60回の資料(PDF)として公表しているからです。

第1波〜第3波までの重症および死亡事例の経過

  第1波の時は『重症からの死亡例』が47名だったのに対し、『重症カテゴリを経ない死亡例』が40名でした。

  しかし、第2波と第3波では『重症カテゴリを経ない死亡例』が『重症からの死亡例』の3倍です。このデータを確認していれば「オミクロン株以降では『重症カテゴリを経ない死亡例』が問題」との主張は詭弁と判断されることになるでしょう。

第4波〜第5波までの重症および死亡事例の経過

  『重症カテゴリを経ない死亡例』が『重症からの死亡例』よりも多い状況は「アルファ株による2021年春の感染拡大」や「デルタ株による2021年夏の感染拡大」でも発生しています。

  オミクロン株による感染拡大が発生した後に確認された事象ではないため、「新型コロナによる重症化率が季節性インフルエンザを下回ったことで煽りネタに困った医クラが持ち出した新ネタ」と見なす必要があるはずです。


80歳以上が『重症カテゴリを経ない死亡例』の発生源

  大阪府が発表している新型コロナの発生状況から「80歳以上の新規重症者および死者数」をグラフ化すると以下のようになります。

  2020年夏の第2波から2021年夏の第5波では「『新規重症者数』よりも『死者数』の方が 2〜4 倍」の水準なのです。

  つまり、これは “新型コロナが重症化しなくても死に至る80歳以上” が存在していることを意味しています。その死因を「新型コロナに求める」か「新型コロナ以外に目を向けるか」で判断や対策が変わってくることは言うまでもないでしょう。



  “高齢化が進む日本” で「高齢者が死亡」するのは日常風景でなければなりません。

  将来推計では「2020年に約140万人が死亡」するはずだったのが、前年割れの137万人に留まりました。「2022年は約146万人の死亡は想定内」であり、『高齢者の延命』に社会的・経済的資本を投じる余裕は失われつつあります。

  医療行為の件数によって診療報酬を得る医療従事者は「医療を必要とする高齢者が多ければ多いほど経済的な報酬を得やすくなる立場」なのです。

  医療業界のポジショントークを真に受けると経済が成り立たなくなることを多くの人が認識する必要があるでしょう。