テレビ朝日「ウクライナからの避難民様が半年も愛犬と離されるのは嫌だと言っておられる」 → 農水省「狂犬病予防の隔離措置を緩和します」

  農水省が「ウクライナからの避難民が連れて来たペットに対する検疫の隔離措置を緩和する」と発表したことをテレビ朝日など報道各社が報じています。

  ペットの犬が日本に入国する際は『狂犬病予防のための隔離措置』として最大で180日の待機を求められます。今回はウクライナからの避難民による不満をテレビ朝日が批判的に取り上げたことで検疫は骨抜きとなりました。

  ウクライナ避難民の “置き土産” が「狂犬病の国内蔓延」という事態にならないよう祈るしかない皮肉な状況と言わざるを得ないでしょう。


「愛犬と半年も離れるのは嫌だ」とゴネるウクライナからの避難民様に寄り添ったテレ朝

  農水省が検疫を止める特例を踏み切る原因となったのはテレビ朝日の報道です。ウクライナからの避難民の不満を全面肯定する内容で報じました。

  日本に避難した、カリナ・ターニャさん:「国によってルールが違うことは理解しています。しかし私たちは半年も待てません」

  「半年も待てない」や「1日3000円(=半年で約50万円)も払えない」とゴネたところ、農水省は『満額回答』をしたのです。

  “狂犬病洗浄国” である日本は「狂犬病ウイルスに曝露した際に用いる治療薬への備えは優先度が極めて低い状況」です。この判断は将来に禍根を残すことになると言わざるを得ないでしょう。


『狂犬病予防の隔離措置』を「お役所仕事」と批判した奥下たけみつ議員(日本維新の会)

  テレ朝が4月14日に報じた上述の “スクープ” に日本維新の会の奥下たけみつ議員が翌15日の環境委員会で取り上げ「お役所仕事」と批判しています。

  隔離措置の目的が『狂犬病予防』であることを無視しているのは論外です。おそらく、維新の奥下議員は「日本が “狂犬病洗浄地域” となるためにどのような措置を採って来たのか」という歴史を知らないのでしょう。

  狂犬病の蔓延が発生すれば、狂犬病ワクチンが未接種の犬はもちろん猫も殺処分にせざるを得ません。その場合に泣くことになるのは “日本でペットの犬や猫を飼っている女の子” なのです。

  今回の農水省の対応はあまりに杜撰ですが、狂犬病のリスクを軽視してパフォーマンスに走った奥下議員の行動も批判されるべきでしょう。


狂犬病の致死率はほぼ100%

  日本では狂犬病の恐怖を感じることはありませんが、狂犬病の致死率はほぼ 100% です。感染研による説明は以下のとおりです。

  狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極め て稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症する人獣共通感染症である。

  狂犬病は1度発症すれば致死率はほぼ 100% ですから、狂犬病ウイルスの存在がされた地域での犬や猫の殺処分は避けられません。ウクライナからの避難民のために『狂犬病洗浄地域』を対価にすることは異様と言わざるを得ないでしょう。

  ちなみに日本では新型コロナの第1波が収束した2020年5月末に狂犬病の輸入症例が報告されています。

  狂犬病を発症した患者は治療による救命ができずに死亡していますし、病理解剖の際の曝露に備えるため “清掃スタッフ” にも『曝露前の狂犬病ワクチン接種』を行うほどの疾病なのです。

  このことを軽視し、“日本を狂犬病のリスクにさらす行為をしたテレビ朝日” や “愛犬を半年も離れるのは嫌だとゴネたウクライナからの避難民の言動” は大バッシングを受けるに値するでしょう。



  発症時の致死率がほぼ 100% の狂犬病に対する検疫を『特例』を理由に骨抜きにできるのであれば、狂犬病よりも発症時の致死率が2桁少ない新型コロナへの検疫は無効にしても良いのではないでしょうか。