【イスラエル】 外国人の入国を禁じるも、新規陽性者数が12月上旬から増加(2021年12月10日時点)

  イスラエル保健省がダッシュボードで報告している新型コロナの新規陽性者数・重症者数・死者数などをグラフ化しましたので紹介いたします。

  グラフ化の対象は「2021年12月10日まで」です。

  外国人の入国停止措置を断行したイスラエルですが、新規陽性者数が12月上旬から増加しています。ただ、『入院中の重症者数』や『死者数』は横ばいのままです。年末までの状況を注視すべきと言えるでしょう。


新規陽性者数と実効再生産数

  陽性者数は11月中旬に「1日あたり500人を下回る水準」となりましたが、11月後半からは実効再生産数Rが1を上回る状況に突入。12月以降は「増加」が鮮明になっています。

  東京の実効再生産数Rも1を超える時がありますが、1日あたりの新規陽性者数が20人前後ですから誤差の範囲内です。

  イスラエルは昨年の年末から感染拡大が深刻になりました。今年は国民の多くがブースター接種済であり、感染拡大が抑制できるかが注目点となるでしょう。


重症者数の推移

  新規陽性者数は「増加」に転じていますが、『入院中の重症者数』は「減少」が続いており100人前後の水準です。そのため、「今後の新規重症者数がどうなるか」が最大の焦点となるのは明らかです。

  イスラエルにとって理想的なシナリオは「『オミクロン株』による感染拡大が起きること」でしょう。

  重症化率の低い『オミクロン株』による感染拡大だと『入院中の重症者数』と『死者数』は「微増」で済むと予想されます。明らかな増加が見られるのは『新規陽性者数』だけと南アフリカでは示されているからです。

  “今夏にイスラエルで感染爆発を引き起こしたデルタ株とは異なる種” が蔓延すると、『冬季』が悪い方に作用する可能性が否定できません。したがって、「どの『変異株』による感染拡大か」を認識することが重要なのです。


死者数(7日間平均)の推移

  『死者数』も『入院中の重症者数』と同じで「低水準」が続いています。

  昨年は「7日間平均で10人弱」でしたが、今年は「7日間平均で数人」にまで減少しています。死者の先行指標となる『入院中の重症者数』は増えていませんし、新型コロナによる死者が増える見込みは現状ではないと言えるでしょう。

  『死者数』が増加するかは「イスラエルで感染拡大を引き起こす『変異株』が持つ毒性の強さ次第」です。

  『オミクロン株』の場合なら死者数は大事にはならないでしょう。『(デルタ株の)リバウンド』の場合は憂慮すべき事態になると思われます。いずれにしても年末までの感染状況を見守り、それで得たデータを活用すべきと言えるでしょう。