「ワクチンの効果は高い」と主張するも「効果を裏付ける数値や持続期間」には言及しない厚労省は不誠実

 厚生労働省がツイッターで「ワクチンの効果は高いものの 100% ではないため感染予防対策の継続を」と呼びかけています。

 問題がないように思われますが、ワクチン接種効果を裏付ける根拠などが言及されていないことは疑念を呈されるべきでしょう。また、「ワクチンの効果が持続する期間」を踏まえた対策をするための布石が打たれている様子がないことも懸念点です。

 

厚労省によるツイート

 厚労省が行ったツイートは以下のものです。

 ワクチン接種で感染や発症(および重症化)を 100% 防げる訳ではありません。そのため、感染予防対策の継続を呼びかけることは理解できることです。

 しかし、「ワクチンの効果は高い」と主張するなら根拠を示すことが必要です。根拠となるデータを紹介することができていないですから、それを国民に分かりやすく紹介することは “厚労省の役目” と言えるでしょう。

 

2回目のワクチン接種から約半年で効果は失われる

 まず、新型コロナワクチンを接種しても『終生免疫』を得ることはありません。麻疹(はしか)や風疹は「1度かかると2度とかからない」ため、それらのワクチンと同列に語ることは誤りです。

 したがって、新型コロナワクチンは接種効果の持続期間が重要なのですが、イスラエル保健省が発表した調査結果から「ワクチンの発症抑止効果は約半年」と示されている状況です。

イスラエルが発表した新型コロナワクチンの接種効果
ワクチン接種による抑止効果(調査の期間:6/20〜7/17)
2回目接種時期 感染 発症 入院 重症化
2021年1月 16% 16% 82% 86%
2月 44% 44% 91% 91%
3月 67% 69% 89% 94%
4月 75% 79% 83% 84%
全体 39%
【9% - 59%】
41%
【8.7% - 61.2%】
88%
【78.9% - 93.2%】
91%
【82.5% - 95.7%】

 この事実を国民に伝えることなく、「ワクチンの接種すべき」と啓蒙することは騙し討ち同然と言わざるを得ないでしょう。

 

頼みの綱である重症化抑止効果も半年で 50% 台にまで減少

 新型コロナワクチンに対する評価は「感染・発症予防効果は半年ほどで失われるが重症化抑止効果は残っている」とのものでしょう。しかし、これも否定されています。

新型コロナワクチンの重症化抑止効果

 イスラエル保健省のコロナ・ワクチン委員会が8月12日に行った会合の資料(PDF)から、「2021年1月に2回目のワクチン接種を終えた人の重症化抑止効果は 54.8%」と示されているのです。

 この数字は「6月20日から8月7日までの期間」が対象です。これが8月初旬から「3回目の接種」を敢行する “決め手” になったと言えるでしょう。

 

医療従事者や高齢者に『イスラエルと同じファイザー製の新型コロナワクチン』を接種した日本も他人事ではない

 イスラエルは『ファイザー製の新型コロナワクチン』の接種を進めた国であり、日本は先行接種の対象である医療従事者や高齢者が『ファイザー製の新型コロナワクチン』の接種を終えています。

 3月・4月の春先に2回目接種を終えた医療従事者のワクチン接種効果は間も無く失われるでしょうし、今冬(の直前)には高齢者のワクチン接種効果も消えると予想されます。このシナリオへの準備が必要なのは明らかです。

 ただ、厚労省は動けないでしょう。なぜなら、『インフルエンザの致死率(= 0.1%)を下回る数値を記録している若者(= 20代は 0.002%)』にワクチン接種をさせるために「若者も重症化する」と煽ってしまったからです。

 「若者への接種より高齢者へのブースター接種」とするなら、これまでの啓蒙活動はすべて虚偽になります。

 『終生免疫』が得られると誤解させ、重症化しにくい若者にまで大きな副反応リスクを取らせてまで高齢者を優遇していた実態が明るみに出るからです。したがって、(感染状況は)自然の成り行きに任せることになるでしょう。

 

 そもそも厚労省が採っている新型コロナ対策に科学的なデータに基づく裏付けが見当たらないのです。効果があることを示せるのなら、厚労省の『新型コロナ特設ページ』から簡単にデータを確認できるようにしているはずです。

 “思い付きに基づく提言” をした専門家も、それを鵜呑みにして採用した厚労省も経済不況による損失を被らない安全な立場にいます。対策で守られる人々と対策による費用や弊害を被る側の非対称性を解消することが厚労省の責務なのではないでしょうか。