2021年5月の人口動態統計速報、出生数のマイナス分は当月までの累計で-6.6%

 厚労省が人口動態統計速報の2021年5月分を発表していましたので紹介いたします。

 出生数と死亡数は先月とほぼ同数でした。出生数は今年1月から5月までの累計で -6.6%、死亡数は「2020年に記録した過少死亡の揺り戻しが生じた内容」となっています。

 

人口動態統計速報(2021年5月分)の概要

 人口動態統計速報の2021年5月分の概要は下図のとおりです。

人口動態統計速報(2021年5月分)

 出生数が1月から5月までの累計で「前年より -6.6%」と悪化した数値が続いています。これは今年1月と2月の出生数が「前年比 -10% 弱」だったことが主な原因です。

 5月のみでは「前年比 -2.1%」と数値を戻しつつあります。少子化が深刻な状況ですから、マイナス分をどれだけ小さくできるかが注目点と言えるでしょう。

 

『5月の死亡数』を強調した超過死亡で騒ぐ専門家が発生すると容易に想像できる

 2021年5月分での特筆事項は「前年より1万人増えた死者数」でしょう。増減率は +9.5% を記録しているため、条件付け次第で「超過死亡が起きている」と騒ぐことができるからです。

 死者数は1月から5月までの累計死者は約62万人。前年より +5% の増加となっています。

 しかし、日本は「死者数が毎年2万人ずつ増える高齢化が進んだ国」であり、昨年は「前年割れ」でした。今年は「年間142万人の死亡」だと “予想どおり” ですし、月別の死者数を確認する限りでは想定内となっています。

 

大阪府では『超過死亡』が起きていた可能性

 日本全体では「5月までに報告された死者数」が想定内に収まっていることは事実ですが、地域を絞ると『超過死亡』が起きていたと言わざるを得ない地域があります。その代表が大阪府です。

 大阪府は速報で8901名の死亡が報告されています。これは2020年5月分の人口動態統計速報より「1700人多い死者数」です。前年同期比は +23.6% ですから、超過死亡が起きていたことは否定できないでしょう。

 ただ、留意すべき点もあります。

 例えば、2021年内に死亡する人が2021年5月に亡くなった場合は「死亡の前倒し」に過ぎません。また、超過死亡の発生原因を医療崩壊と結び付けることは時期尚早です。

 医療が提供されていれば救われた命が失われていたなら、それを裏付けるのは『死因や年齢が発表される統計資料』を確認する必要があるからです。

 

 したがって、今後数か月以内に「大阪で医療崩壊による超過死亡が起きた」と主張する医療関係者は疑ってかかるべきだと言えるでしょう。