イスラエル当局より「新型コロナワクチンによる感染・発症予防効果は約半年」との調査結果が示される

イスラエルの保健省がファイザー製の新型コロナワクチンに対する接種効果を発表しています。

接種効果が推計された期間は「2021年6月20日から7月17日までの約1ヶ月」で、その期間に感染および発症予防効果が大きく低下する結果となりました。ただ、ワクチンの接種効果が最も期待される重症化予防については効果は維持されている模様です。


イスラエル・保健省が発表した内容

イスラエル・保健省が7月22日に発表したワクチン接種効果に関する内容(PDF)は以下のとおりです。

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添付図の青の棒グラフで示されている『2021年1月に2度目のワクチン接種が完了した人』の感染・発症予防効果が大きく減少。また、今年2月に2度目のワクチン接種が済んだ人も同じ項目で数値が下がる結果となっています。

ワクチン接種による抑止効果(調査の期間:6/20〜7/17)
2回目接種 感染発症入院重症化
2021年1月 16%16%82%86%
2月 44%44%91%91%
3月 67%69%89%94%
4月 75%79%83%84%
全体 39%
【9% - 59%】
41%
【8.7% - 61.2%】
88%
【78.9% - 93.2%】
91%
【82.5% - 95.7%】

これらのカテゴリーが「6月20日から7月17日までの調査期間全体での数値を押し下げた要因」です。

ただ、数値が著しく低下したのは「感染」と「発症」だけです。「入院」や「重症化」の項目に関しては現状では数値は維持されています。したがって、ワクチンの接種効果が全否定されることは誤りと断言できるでしょう。


イスラエルにおける時期別のワクチン接種効果

ちなみに、イスラエル保健省が7月6日に発表した時期別のワクチン接種は下表のようになります。(* 6月20日から7月17日までの数値は7月22日発表分を追記)

イスラエルにおける時期別のワクチン接種効果
期間 感染発症入院重症化
1/31 〜 2/27 94.3%96.8%97.1%97.4%
2/28 〜 3/27 96.9%97.9%98.4%98.8%
3/28 〜 5/1 95.8%97.4%99%99%
5/2 〜 6/5 94.3%95.6%98.2%98.4%
6/6 〜 7/3 64%64.2%93%93.4%
6/20 〜 7/17 39%41%88%91%

発表資料を見る限りでは「新型コロナワクチンの感染・発症予防効果は半年ほど」と言えるでしょう。つまり、『陽性反応者数』を新型コロナ対策の最重要指標とするなら、半年に1度の新型コロナワクチン接種は不可避とならざるを得ません。

製薬会社の回し者でないなら、希望者以外にまで新型コロナワクチンの接種を要求することは止めるべきです。

現状では「入院が必要となる病状を防ぐ効果」は維持できていますし、こちらを丁寧に説明する方が世間からの信頼を損ねずに済むと考えられるからです。


入院中の重症者数(イスラエル)

ただ、新型コロナワクチンの効果が最も期待される重症化抑止に関しても不穏な状況にあることは否定できません。

7月1日時点での重症者は24名でしたが14日には51名にまで倍増。25日には101名に達しています。

現状での『重症者数の増加ペース』を見ると、新型コロナワクチンの重症化抑止効果が下がっていたとしても不思議ではありません。昨夏と比較した際の『重症者数のピーク値』がどのあたりになるかが注目点になるでしょう。

イスラエルの状況を注視する価値はあると思われます。