陽性数しか見えなくなった尾身氏に引導を渡すべき

政府・分科会の尾身茂氏が「東京での新規陽性者は8月第1週には過去最多の3千人近くにまで増加する見込み」と主張し、医療逼迫を回避するための感染防止対策をすべきと要望しています。

残念ですが、尾身氏には引導を渡すべきでしょう。

重症者数を把握できていないですし、医療提供能力の増強などやるべきことができていないからです。医療の無責任さを国民に転嫁することは厳しくなっている現実を直視する必要があります。


朝日新聞が報じた尾身氏の主張

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は20日、日本テレビの報道番組で、東京都の1日の新規感染者数について、8月第1週には過去最多の3千人近くまで増加するとの見通しを示した。それに伴い、医療逼迫(ひっぱく)が起きる可能性も「極めて高い」とした。

尾身会長「8月第1週に東京で3千人感染」 見通し示す


尾身氏が目を背ける事実

新規陽性反応者数

尾身氏が言うように「東京都で1日の新規陽性者数が3000を超える」ことが起きる可能性があることは事実です。しかし、それが最重要項目ではないことも事実です。

重要なのは「医療措置が “本当に” 必要な患者数」だからです。その代表例が『重症者数』でしょう。

入院中の重症者数

東京都とイスラエルの陽性反応者数は似たような数値が報告されていますが、重症者数には大きな違いがあります。

東京都は「50〜60人台で横ばい」であることに対し、イスラエルでは「7月1日時点は25人だったのが17日の時点で60人超」と2倍以上の伸びを見せているのです。

無症状者も含まれる『陽性反応者数』とは違い、『重症者数』は状況の深刻さを知る上で重要な手がかりとなります。にも関わらず、『陽性反応者数』だけを取り上げて騒ぐ尾身氏の振る舞いは大きな問題と言わざるを得ないでしょう。

入院中の重症者数(イスラエル)

ちなみに重症者数の増加が止まられないイスラエルですが、昨夏に記録した重症者数と比較すると現状では “さざ波” 程度の水準です。

新型コロナワクチンの有効期間が「6〜8ヶ月」であるなら、『1年前の重症者数』をなぞる曲線を半月遅れで描くことになるでしょう。重症化抑止効果が継続中の場合は「一定の重症者数で頭打ち」となるはずです。

したがって、今後イスラエルから報告される重症者数がどのように推移するかは注目に値すると言えます。

今年1月よりも少ない重症者数で医療逼迫とはどういうことか

尾身氏は「医療逼迫が起きる可能性が極めて高い」と発言していますが、これは妄言です。なぜなら、重症者数は今年1月よりも低い水準だからです。

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東京都が2021年1月時点で受け入れていた重要者数の半分で今夏に医療逼迫が起きれば、100% 医療の落ち度です。弁解の余地は全くありません。

しかも、1月時点とは異なり医療従事者への新型コロナワクチンの優先接種は完了済みです。

つまり、医療提供能力は今年1月時点よりも上がってないとおかしいのです。現状維持なら「医療のサボタージュ」か「制度上の欠陥が放置されたまま」を意味しているため、分科会のトップである尾身氏の責任は免れません。


直近の尾身氏の言動は「ワクチンが実用化される前の1年前と変わらないもの」ばかりです。そのような人物が提唱する対策は日本経済や国民に害を与えるだけでしょう。政府が引導を渡すべき時が来たのではないでしょうか。