欧米基準であれば東京オリンピックが有観客なのは当たり前、尾身氏の主張こそ「普通の判断ではない」

 IOC のトーマス・バッハ会長が「感染状況の改善で有観客」を要望したことに対し、分科会の尾身会長が「普通の判断ではない」と言及したと報じられています。

 普通の判断をしているのはバッハ会長でしょう。なぜなら、日本よりも新型コロナの感染状況が深刻な欧米では有観客によるスポーツイベントが行われているからです。尾身氏の周囲にいる人々が最新情報を伝えるべきと言えるでしょう。

 

尾身氏が言及した内容

 尾身氏は16日に行われた記者会見で以下のように言及したと報じられています。

 国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長が感染状況の改善時に観客を入れての開催を求めたことについて、政府の有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の尾身茂会長は16日の記者会見で、「2週間後に有観客というようなことは、普通の判断ではないと思う」と述べた。

毎日新聞

 「普通の判断ではない」と主張していますが、尾身氏らが要求する対策が根本的に間違っているのです。この事実の指摘を怠ることは問題と言わざるを得ないでしょう。

 

尾身氏が触れない不都合な事実

新型コロナ陽性者数は日本よりワクチン接種が進むアメリカやイギリスの方が多い水準

 まず、日本はコロナ禍に襲われたとは言えない感染状況です。陽性反応者数はワクチン接種が日本よりも進む欧米よりも少ない水準で推移しているからです。

 この事実から目を背けた主張には何の意味もありません。尾身氏の言う「普通の判断」が何を意図しているのかに疑念を抱く声が出てくるのは当たり前のことです。

 

アメリカは有観客で MLB のオールスター戦を開催し、イギリスは F1 で最大14万人を動員へ

 理由は “日本よりも新型コロナ陽性者数が多い欧米” で有観客の大規模スポーツイベントが今夏に開催されているからです。バッハ会長が申し入れをするのは当然でしょう。

 アメリカでのコロラド州デンバーで開催されたオールスター戦は有観客でした。イギリスに至ってはロンドンで決勝戦が開催されたサッカー EURO 2020 で6万人の動員に続き、F1 ではレース当日だけで最大14万人を動員が予定されています。

 今週末(7月16~18日)に開催されるF1第10戦イギリスGPは、大規模イベントへの参加による新型コロナウイルス感染リスクを調査するために設立された「イベント・リサーチ・プログラム(ERP)」の一環として行なわれる。これにより、レース当日だけで最大14万人の動員が予想されている。

motorsport.com

 欧米ではもちろんノーマスクです。感染者数(=新型コロナの陽性者数)が欧米よりも1桁少ない水準の日本でスポーツイベントが無観客開催など理解されないでしょう。

 無観客で行う合理的な根拠を示せていないのですから、尾身氏に「役立たず」のレッテルが貼られることは止むを得ません。

 

 「医療が逼迫する恐れがある」と主張することはできますが、それを海外メディアの前で公言することはできないでしょう。なぜなら、「日本の医療は欧米よりの1〜2桁少ない感染状況で崩壊する途上国レベル」と認めるに等しいからです。

 『陽性者数至上主義』ではなく『重症者数』や『死者数』に評価の指標を変更するよう尾身氏の周囲がアドバイスをすべきだと思われます。それができないなら、分科会そのものを解散すべきではないでしょうか。