日経新聞が社説で「コロナ病床確保料の抜け道をなくせ」と主張

  日経新聞が2023年1月17日付の社説で「コロナ病床確保料の抜け道をなくせ」と主張しています。

  これは過去に「幽霊病床」として問題になった手口が現在でも使われており、制度そのものに欠陥があることを示唆しています。労せずに補助金をしている医療機関側は現状維持を望むことでしょう。

  しかし、医療機関に支払われる交付金を負担している民間側からすると「インフルエンザ未満の脅威である疾病用の病床確保費を拠出し続けること」は容認できるものではありません。私腹を肥やす医療機関に是正が要求されるのは当然のことです。


「 “死に体” になるほどの経営状態」と主張する医療従事者

  医療業界が『コロナ病床確保料』を正当化しようとする理由は「医療機関の経営状況が苦しい」というものです。その代表例が聖路加国際病院の坂本史衣氏でしょう。

  坂本氏は「2022年は “死に体” になりそうな経営状況」と主張していますが、経営母体である聖路加国際大学の決算資料が反証の根拠になるでしょう。

  2017年度から2019年度の補助金収入は4〜6億円の範囲でしたが、2020年度は46億円で2021年度は20億円と4倍以上に増加しているからです。

  2021年度は資金ベースで34億円の黒字決算だった訳ですし、補助金の給付水準に大きな変化のない2022年度の決算が大赤字に転落しているのは考えにくい状況です。

  納税者側から「コロナ病床確保料が不要不急の支出である」との声が上がることは止むを得ないでしょう。


「補助金の受給額は適正だった」と弁明するのは簡単ではない

  「(坂本史衣氏が勤務する)聖路加国際病院が『幽霊病床』を使って補助金を不正に受給していたか」は各人が判断すれば良いことです。

  厚労省が定期的に発表している『各医療機関内の病床の確保状況・使用率等の報告』に聖路加国際病院も含まれており、病床数と使用率は以下のようになることが確認できるからです。

  聖路加国際病院は『都基準での入院中の重症者数』に『即応病床数』を連動させる運用をしていると思われます。ただ、『即応病床数』を超えて『東京都の調整済の最大病床数である確保病床』に迫る入院患者を受け入れた実績はありません。

  コロナ病床を確保していれば行政からの補助金を得られるため、医療資源を効率的に活用する意味においても「コロナ病床確保料の抜け穴を問題視する声」が上がるのは当然のことと言えるでしょう。

  感染収束のフェーズに入って『都基準での入院中の重症者数』が減少しても『聖路加国際病院の即応病床数』の連動性は思わしくないからです。



  聖路加国際病院のコロナ患者の受け入れ数は “マシ” な方ですが、新型コロナの脅威が季節性インフルエンザを下回った状態でも「病床確保による補助金」を得ることで良好な経営状態を保つことは理解されないでしょう。

  「医療は社会の敵」とのハッシュタグがツイッター上で流れるのは必然と思われます。