マスク着用を勧告していたニューヨーク市、万引き増加を受けて「マスクを着用しての入店を認めるな」と市長が方針転換

  アメリカ・ニューヨークのアダムス市長が「窃盗犯への対策としてマスク着用者の入店を拒むように」と店舗側に呼びかけたブルームバーグなどが報じています。

  この件が皮肉なのはエリック・アダムズ市長が「マスク着用を拒否する市民には罰金を科す」との強行姿勢を採るほどのマスク推奨派だったことです。

  民主党が強い “サンクチュアリ・シティ” では万引き程度の犯罪だと訴追されず、犯罪が野放しになっている問題が横たわっていました。そこに「素顔を隠せる理由」を行政が与えてしまったのですから自業自得を言わざるを得ないでしょう。


不法移民に寛容な “サンクチュアリ・シティ(聖域都市)”

  この問題の発端は「不法移民に寛容な『聖域都市』の存在」です。

  トランプ大統領が不法移民への厳格な対応を “公言” したことに民主党系の政治家が反発。民主党が強い東海岸や西海岸の大都市では「大統領(≒連邦政府)の内政方針とは異なる独自政策が採れる」ため、不法移民に寛容な政策で支持者にアピールしました。

  要は「不法移民による軽微な犯罪は見逃す」という “目溢し” をしたのです。これが今回の問題の土壌になったことは言うまでもありません。


2022年12月に「屋内のマスク着用」を再び勧告していたニューヨーク市

  ニューヨークのアダムス市長が一部で『マスク脳』と揶揄されている理由は「アメリカでも屈指のコロナ対策積極推進派」だからです。

  ニューヨーク市は2022年12月に新型コロナの感染拡大を理由に「マスク着用」を強く求める勧告を出した共同通信が報じています。

  しかし、その3ヶ月後には市長が「窃盗を防ぐために店舗側はマスク着用者の入店を拒むべきだ」と語りかけたのです。

  数年に渡ってマスク着用を求めてきたこととは真逆の対応をしています。これは本末転倒と言わざるを得ないでしょう。


当局が万引き犯を取り締まらないなら、小売店は「万引き前提での値上げ価格」を設定する

  ニューヨークのアダムス市長が「マスク着用者の入店を拒むべき」と主張した理由はインフレを招く要因としても機能してしまっているからでしょう。

  1. 当局が万引きを刑法犯として処罰しないため窃盗犯が続出
  2. 「マスク着用の強い勧告」で素顔を隠せることが窃盗行為を後押し
  3. 店舗側は「万引き被害を前提にした商品の値上げ」で自衛
  4. 物価高が刺激されたことでインフレが加速

  正直者が馬鹿を見る結果になっていますし、現状では「市長の失政(がインフレを悪化させている)」との批判を免れることはできません。

  コロナ対策による弊害の1つが「防犯対策のコスト費が転嫁されたことによる値上げ」として示されたに過ぎません。同様の問題が日本でも起きる素地は十分にあると考えられます。