主要政党が『高齢者向けの政策』ばかりを掲げる国政選挙への投票を啓蒙する芸能人は滑稽

  7月10日に投開票が行われる参議院議員選挙に向けて1票の大切さを語る動画『VOICE PROJECT 投票はあなたの声』が公表されたと日本テレビが報じています。

  ただ、芸能人など著名人が投票を呼びかけても若者の投票率が上昇することはないでしょう。20代の投票率は1998年の第18回参院選以降は「35% ほどで横ばい」なのです。

  今より若者の絶対数が多かった20年前でも『若者の声』は政治に届かなかったのです。この事実を無視した啓蒙活動は自己満足に過ぎません。


参議院議員選挙の年代別投票率に変化は起きていない

  まず、参院選における年代別投票率は「いずれの年代でも横ばい」であることが総務省から発表されています。

  投票率の変動は衆議院議員選挙の方が大きく、政権交代が起きることが期待できない参院選の投票に出向く人は「政治への関心がある人」と見なすべきでしょう。


少子高齢化の影響で「30代以下の声」は「70代以上の有権者」にかき消された

  次に、日本は少子高齢化で高齢者が多数派になりました。以下は総務省が発表している人口推計から20歳以上の割合をグラフ化したものです。

  70代以上の有権者数は2020年の時点で 26.4% に達しています。この数字は「20代と30代の有権者が全有権者に占める割合とほぼ同じ」です。『若者の声』が政治に届くことは期待できないでしょう。

  なぜなら、高齢者の絶対数は「今よりも増える」からです。


『左派系の大きな政府』しか選択肢が存在しない

  日本の社会保障は予算規模が年間140兆円に達しますが、その大部分は高齢者向けの年金・医療・介護で消費されています。

  民間の給与所得が約220兆円ですから現役世代が創出する富では賄い切れません。だから、選挙で多数派の高齢者と反目したくない政党は「将来世代にツケを回す赤字国債の発行」で利害が一致しているのです。

  日本テレビの『考え方診断』でも “与党との対決姿勢を鮮明する野党” ほど「公的支援重視」が色濃くなっています。

  その一方で『(納税者の味方となる)小さな政府』を志向する政党は見当たりません。アメリカでは共和党、イギリスでは保守党が『小さな政府』を志向する政党です。

  “労働資本” しか持たない若年層は『小さな政府』の方が自由を謳歌できますが、『大きな政府』では若者を含む現役世代は「税負担の重み」に苦しむことになります。この事実を無視しているのですから若年層の投票率が上がることはないでしょう。