健康保険料の半分は「被保険者や扶養者ではない高齢者」に費やされるから働き盛り世代の疲弊が加速する

  毎日新聞が報じた「大企業の健康保険組合が解散危機に瀕している」との記事を Yahoo! が転載しています。

  健保組合が解散危機に瀕している理由は「高齢者医療への “仕送り” が増加しているため」です。加入者である会社員が負担する保険料率をさらに上げることは難しく、すでに重い保険料率の負担分が働き盛り世代を疲弊させる元凶となっています。


健保組合が集めた保険料の半分は「75歳以上の後期高齢者」に献上される

  毎日新聞が『国民皆保険』の制度に疑問を呈するのは選挙前の恒例行事です。と言うのも3年前にも今回の記事と同じ懸念を指摘しているからです。

  現役世代は毎年19兆円近くの保険料を納付していますが、被保険者やその扶養家族が年間19兆円もの医療費を使っているのではありません。

  理由は健保組合などが集めた保険料の半分に該当する8兆円強は高齢者医療に仕送りが行われるからです。働き盛り世代だけでなく、若者や子供たちを含む現役世代が疲弊するのは必然と言わざるを得ないでしょう。


『応能負担』の意味を拡大解釈して現役世代と将来世代を磨り潰した医療行政

  医療関係者は「世界に誇る国民皆保険制度」と語りますが、医療業界からはそう映るだけです。

  これは、負担能力のある比較的健康な現役世代が、負担能力が小さくて病気になりやすい高齢者を支える「応能負担」で成り立っている。だが、高齢化によって、現役世代の負担が過大になっており、制度が揺らぎつつある。

  高額な医療費を国民皆保険制度を使って社会から回収できるのです。患者の支払い能力を心配する必要はなく、患者に医療行為をしただけ診療報酬を得られる制度は医療業界にとって理想的でしょう。

  しかし、保険料を強制的に負担させられる働き盛り世代にとっては迷惑極まりないことです。

  『応能負担』を持ち出すことで現役世代が高齢者の医療費を負担することを正当化していますが、現状は「返済能力がある現役世代や将来世代は借金(=赤字国債)を背負わされて “今の高齢者” が使う医療費の負担を強制されている」のです。



  医療サービスによる恩恵を受ける後期高齢者は窓口負担は1割で、後期高齢者医療制度の半分は税金です。『応益負担』ではなく『応能負担』の国民皆保険制度では “搾取される側である現役世代” の疲弊が進行するだけです。

  「命が大事」と訴えながら現役世代や将来世代に借金を背負わせ、それを『国民皆保険』でマネー・ロンダリングすることで『診療報酬』として手にしているのが日本の医療業界なのです。ここにメスを入れる必要があるのは明らかと言えるでしょう。