「(悪い円安の)問題はあなたたち(日本政府の政策)にある」とアメリカなど G7 各国から突き放される

  日本側が「戦時下の悪い円安」に対する懸念を主要7カ国( G7 )財務相・中央銀行総裁会議で示したが、良い返答を得られなかったと日経新聞が報じています。

  円安とドル安が “同時に” 進行しているのであれば、対応で歩調を合わせる同期はあります。しかし、円安だけが起きているのですから「日本政府の金融政策が間違っていた」と見なされることは避けられません。

  援軍が現れないのは必然と言わざるを得ないでしょう。


世界経済が「事実上の戦時下」にあるなら、日本 “も” インフレとの闘いに苦しんでいるはず

  ロシアがウクライナに侵略したことで両国から輸出されるエネルギーや食料に供給問題が発生。供給量の減少による価格高騰でインフレが世界中に飛び火しました。

  ロシアのウクライナ侵攻で、世界経済は事実上の戦時下にある。エネルギーや食料の価格が高騰し、米国や欧州はインフレとの闘いに苦しむ。日本だけの懸案である「円安」にかまっている余裕はない。

  ところが、インフレとの闘いに苦しむアメリカやヨーロッパとは別に日本 “だけ” は「円安」となっているのです。世界経済が『事実上の戦時下』にあるなら、日本も「インフレ」で苦しんでいるはずです。

  金融政策によって『インフレによる問題』を『円安の問題』に変えた日本が「円安への懸念」を主要国に訴えたところで聞き流されるのは当然の結果と言えるでしょう。


“コロナ禍が最も軽微だった日本” が「対 GDP 比 54% の経済対策」を実施

  円安が進行した大きな理由は『コロナ禍』が主要先進国の中で最も軽微だったにも関わらず、『コロナ禍への経済対策』を主要先進国の中で最も大きい “対 GDP 比で 54%” もの額を投じたからです。

  財務省・財政制度分科会の発表資料(PDF)によりますと、米・英・仏は「GDP 比 30% ほど」の経済対策に留めていたのです。

  “コロナ禍による影響が最も軽微だった日本” が政府や専門家が推奨した『コロナ対策禍』で欧米よりも深刻なダメージを負い、コロナ対策による弊害を緩和するための『経済対策』によって引き起こされた円安に苦しむことは自業自得と見なされることでしょう。


黒田東彦氏が日銀総裁に留まる限り、円安は続く

  鈴木財務相が「悪い円安」と懸念しても黒田日銀総裁は『異次元緩和政策』を継続して「金利が上がる欧米主要国との金利差」を維持しているのです。

  日本と同じマイナス金利だった ECB (欧州中央銀行)は2022年3月で『パンデミック緊急買入プログラム』を中止しており、日銀以外は「金利引き上げ」へと動いている状況です。

  日本の中央銀行である日銀が『円安を助長する緩和』を続ける一方で、日本政府は『円安による影響を緩和する政策』をバラ撒きによって実施しようとすることはマッチポンプと言わざるを得ません。

  欧米の主要国から見れば支離滅裂ですし、鈴木財務相が「悪い円安への懸念」を示したところで「問題の根源は『日銀の金融政策』なのだから日本の国内問題」と見なされるのは当然です。現状では円安が続くことになるでしょう。