文科省が「オミクロン株の濃厚接触者は大学受験不可」と通知し、岸田政権の新型コロナ対策に忖度
文部科学省が「オミクロン株での陽性反応者の濃厚接触者となった受験生は症状の有無に関係なく大学入試試験の受験は認められない」との指針を発表したと読売新聞が報じています。これは極めて深刻な人権侵害と言わざるを得ないでしょう。
『デルタ株の濃厚接触者』は受験可で、『オミクロン株の濃厚接触者』だと受験不可
読売新聞が報じた記事の内容は以下のものです。
文部科学省は24日、大学入試を巡り、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の濃厚接触者として宿泊施設への滞在が求められている受験生は、無症状であっても受験は認められないとする指針を発表した。オミクロン株の濃厚接触者は宿泊施設で待機するよう求める政府方針を受け、試験実施の指針を改定した。
「オミクロン株の濃厚接触者は宿泊施設で(14日間の)待機を」と呼びかけた岸田政権の『新型コロナ対策』に文科省が呼応した形になります。
そもそも濃厚接触者は陽性反応者ではないのです。デルタ株の濃厚接触者は「検査陰性」であることを条件に受験は可能です。オミクロン株の濃厚接触者だと受験不可となるのは差別以外の何物でもありません。
法的根拠のない通知が各大学に要請されたのですから、「大学の自治」を根拠に各大学は要請を突っぱねるべきでしょう。
「追試での救済」を要請したところで、“1回の追試” で全受験生が救済される保証はない
文科省は「追試による救済策」を講じるよう要請していますが、これは大学に負担を押し付けるだけの愚策で『受験生にとっての救済策』にはなりません。
- 大学側に「追試」を実施する日程的な余裕はあるの?
- 濃厚接触者の「発生日」と「人数」が不明
- 追試は何回実施するの?
- 追試の実施日にも濃厚接触者に認定された受験生の救済は?
- 入試問題は「本来の試験問題」とは別でなければならないけど、作成は間に合うの?
即座に指摘できる問題だけでも上述のものがあります。『オミクロン株の濃厚接触者』は「陽性者と同じ空間にいた」で適用されてしまうため、方針転換がなければ悲惨な結果を招くことは火を見るよりも明らかです。
『大学入学共通テスト』や『私立大学の入試試験』の試験会場に “オミクロン株の陽性反応者” がいたとテスト終了後に発覚するケースは起こり得ます。
その場合、同じ教室で受験した受験生全員が濃厚接触者になってしまうのです。このような状況が生じた際の具体的な救済策を文科省は何も例示していないのですから、無責任との批判は免れないでしょう。
南アフリカでは「無症状なら隔離や検査不要」の方針を選択
一方、オミクロン株による感染拡大に見舞われた南アフリカは「無症状なら隔離や検査は不要」との方針を採用したとロイター通信が報じています。
無症状なら隔離や検査不要、南アがコロナ新方針 変異株など考慮 https://t.co/W0pvLOw4Hb
— ロイター (@ReutersJapan) 2021年12月24日
南アフリカでの『オミクロン株による感染』は収束への向かっていますし、死者数は「デルタ株とは比較にならないほどの低水準」です。
最大都市ヨハネスブルグなどがあるハウテン州での『デルタ株』と『オミクロン株』による新規陽性者数と死者数は上記のように推移しており、罹患による恐怖を煽ることはナンセンスと言えるでしょう。
そもそも大学受験をする若者にとって新型コロナ罹患によるリスクは「ほぼ皆無」です。彼らは「ワクチン接種による心筋炎などの副作用」の方が深刻なリスクであり、高齢者のために不利益を被っている若者をさらに苦しめる対応は論外です。
文科省は「やりすぎの方がマシ」と断言した岸田首相の方針に “忖度” したに過ぎないのですから、責任は行政府の長である岸田首相を背負うべきでしょう。