ワクチンの重症化抑止効果が薄れたイスラエル、3回目接種によるブースターに賭ける

  NHK によりますと、新型コロナの感染拡大に再度見舞われているイスラエルで3回目のワクチン接種が行われることが決定したとのことです。

  イスラエル当局の発表を確認すると “2回目のワクチン接種が完了した高齢者” の重症者が目立っており、3回目の接種による「ブースター効果」を狙ってのことでしょう。日本政府は『貴重なデータ』として活用できるかが課題になると思われます。


  イスラエルでは16歳以上の8割以上が2回の接種を終えていますが、先月下旬以降インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」による感染が広がって1日の新規感染者が2000人を超え、ワクチン接種を終えた高齢者が重症化するケースも目立っています。

  こうした事態を受けイスラエル政府は29日、専門家の意見を踏まえファイザーのワクチンを2回接種をした60歳以上の人に対し、来月1日から3回目の接種を行うことを決めました。

  記者会見したベネット首相は「2回目の接種をしてから5か月以上たった人が対象になる」と明らかにしました。

イスラエル 3回目のワクチン接種実施へ 感染再拡大で


イスラエルで入院中の重症者数

  イスラエルが『新型コロナワクチンの3回目の接種』に本腰を入れている理由は「重症者数が急増しているから」です。

  7月25日時点で「約100人」だった重症者数が1週間も経たない間に「150人超」と1.5倍にまで拡大したのです。2020年夏に記録した『第2波』を彷彿させる勢いなのですから対策が採られるのは当然のことと言えるでしょう。


年齢別の重症者比

  イスラエル政府が採った対策が『60歳以上の高齢者に3回目のワクチン接種を実施』になったかと言いますと、「高齢者の重症者が無視できない状況」だからです。

  日本と比較すると「10代以下の重症者」も報告されていますが、メインは「70代」です。イスラエルでは高齢者の約90%は2回接種済ですから、この重症者の比率では「ワクチンの重症抑止効果に陰りが出ている」と言わざるを得ないでしょう。

  だから、『2回目接種から5ヶ月が経過した人(≒ 高齢者)』への3回目となるワクチン接種が対策として採られているのです。


日本政府は “イスラエルの前例” を踏まえて準備をする必要がある

  ファイザー製の新型コロナワクチンによる「感染予防効果」や「重症化抑止効果」が半年ほどで喪失状態になるなら、日本政府は年末・年始にその状況に直面する恐れがあります。

  ワクチン接種先進国であるイスラエルが “貴重なデータ” を公表してくれている訳ですから活用できなければ問題と言わざるを得ません。その際に重要となるのが「比較と対象」です。

  イスラエルが示しているのは『ファイザー製の新型コロナワクチン』のデータであり、他社(=アストラゼネカ製やモデルナ製)のワクチン接種効果で得られる持続性に関するデータは別途収集する必要があります。

  例えば、「感染予防や重症化抑止などの効果が低い」とされるアストラゼネカ製が「抗体価の持ち」では最も良いスコアを叩き出す可能性もあるのです。したがって、専門家がどれだけ調査・研究を行う能力を有しているのか次第でしょう。


  日本の対応は『欧米で採られた対策の丸写し』ですから、何も考えずに『3回目のワクチン接種』に突き進むと予想されます。無能な専門家の提言を鵜呑みにする政治による経済不況は深刻さを増す結果になりそうです。